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かわもと脳神経リハビリセンター
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2017年11月15日(水)
認知症について
最近、リハビリの世界では認知症に対する注目度が増加しているようです。


しかし『認知症』一口に認知症といっても、ぼんやりとしかイメージできない方も多いのではないでしょうか?そこで、よく耳にはすれど良くわからない、そんな認知症について紹介を行ってまいります。


認知症とは、脳の機能がなんらかの事情により低下し、精神的・身体的な活動がスムーズに出来なくなった状態です。ですので、所謂『認知症』は状態、つまり症状を説明したもので、病名ではありません。後ほど説明しますが、様々な病変の結果認知症となるのです。

さて、精神的・身体的症状には様々なものが表れます。代表的なものは中核症状と呼ばれるもので、記憶障害・見当識障害・理解/判断力の障害・実行機能障害・失語・失認識・失行等が上げられます。

ココに周辺症状と言われるものが加わってきます。周辺症状は人によって様々ですが、失禁・弄便・介護拒否・帰宅願望・妄想・せん妄・睡眠障害・異食・暴力・暴言・幻覚・徘徊・不安・抑うつなど多岐に渡っております。

原因は何なのでしょうか?
認知症にはいくつかの種類があります。原因はその種類によりさまざまですが、多くはアルツハイマー型 レビー小体型などのように、異常な蛋白質の産生や蓄積により脳細胞が死滅し、障害が起こることに起因しています。これらは、なぜその異常が発生したかという点については未だ不明となっております。しかし一部、脳血管性認知症や正常庄水頭症、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫のように原因がはっきりとしているものもあります。
上記のように、脳内の微細な変化によって引き起こされているため、見た目だけでは判断がつきにくいことも特徴であり、普段の様子や症状だけでなく、医学的な検査が必要となっております。

なぜ医学的検査が必要なのでしょうか?
前述の通り、認知症は何らかの病変の結果現れる症状です。つまり、正しい診断を行い、適切な治療を行うことが出来れば、一部の認知症では劇的に症状が改善するケースが存在するからです。

これまで介護の側面で語られることが多かったように思われる認知症ですが、今後は医学的管理や、それに伴うリハビリもさらに重要視されてくるのかもしれませんね?
2017年10月18日(水)
ご利用者様のお言葉
先日、当施設を利用されている方が新聞に投書を行い、掲載されたと笑顔で話されておりました。何度も家族と書き直しを行い、自身の思いをまとめたそうです。

リハビリを提供する側としても大変心強い言葉でありましたので、本人に了解を得た上で、一部抜粋にて紹介させていただきます。
      ・
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―毎日リハビリに通いながら、仲間たちと励まし合いながら、勇気をもらいながら頑張れる。―

自分ひとりじゃないんだと思いつつ、皆頑張っているのだ。私もやらなくては、と勇気をもらう。

―同じ病気のある共通の仲間の中に身をおくということは、どんなに励みになるかとつくづく思う。―

―これから先も長いだろうが行きつ戻りつして、いつかきっと明るく心から笑える日が来ると信じて頑張っていこうと思う。―
      ・
      ・
      ・

新聞に掲載されているものではありますが、一応、ご利用者様の特定を避けさせていただくために掲載紙を伏せ、日にちをおかせていただいております。

利用開始当初は涙も多かった方だけに、この心境の変化は正直驚かされたとともに、うれしい気持ちでいっぱいになりました。

当施設では脳神経を原因とする各種障害などの日常生活上起こりうる問題に対して、リハビリという側面から生活期という場面でいかに適切にアプローチしていくべきかを考えてきました。

まずは、短時間のリハビリでは不十分であると考え、介護保険を活用することで長時間のリハビリを可能にしました。障害をお持ちの方でよく聞かれる共通の悩みとして周囲に同じような状態の方がいないため孤独感を感じるという意見に対して、脳卒中を始めとする脳神経系の疾患を主とするデイケアとして再構成しました。

現在では復職や運転再開が可能となった方を含め、多くの方が卒業されていきましたが、これからも一人一人が前を向き、人生を謳歌していくことが出来るよう支え続けて生きたいと思います。
2017年9月13日(水)
神経筋電気刺激治療のご紹介
今回は久しぶりに文献の紹介を行ってまいります。

今回紹介するのは日本で研究されたもので、「脳卒中リハビリテーションに使用される神経筋電気刺激装置の紹介」という文献です。

海外を含めると、脳卒中リハビリテーションにおいて神経筋電気刺激(NeuroMuscular Electrical Stimulation;NMES)は広く使用されてきております。ここでも何度かは紹介しておりますが、NMESは治療的電気刺激(TES)と機能的電気刺激(FES)があります。今回はそれらの中で非埋め込み式の機器にしぼり、そのいくつかを紹介していきます。

○機能的電気刺激
 FESは随意運動を補助する方法であるが、TESと厳密に区別することは出来ない。多くの研究では、FESによるリハビリテーション訓練が脳卒中患者の活動を改善することを実証している。
  例)WalkAid,NESS 等

○治療的電気刺激
 一般に、NMESは特定の筋肉を刺激することが多いが、脳卒中リハビリテーションにおける筋肉強化の場合、非麻痺側を含む複数の筋に対して刺激を行う。非麻痺側を強化する目的としては、入院時の安静による筋力低下を改善する目的である。また、麻痺していない四肢による代償を行う目的でもある。十分な筋力増強の為には、より強い金収縮を誘発することが望ましいので、刺激強度は対象者が耐えうる限度に設定される。
  例)B-SES(ベルト電極骨格筋電気刺激装置) 等

これとは対照的に脳卒中患者の運動機能を促進する補完的治療として、おおよそ感覚閾値または運動閾値以下の弱い電流によるNMESも提案されている。このアプローチは単体で使用されるのではなく、リハビリテーション訓練と組み合わせて適用される。


近年では筋電図や脳波を用いて運動の意思を抽出し、それに同期した電気刺激を行う方法を開発されている。

このように脳卒中リハビリテーションでは筋肉強化・麻痺に対する運動回復・痙性抑制など、幅広い分野で改善を見込まれ、使用されている。これらは様々な段階の脳卒中患者に適応可能であり、今後も技術の進歩とともに検討が進むことが期待される。




以上のような内容がありました。このように、電気刺激を用いたアプローチは、介入者の技術差による治療効果のばらつきが少なく、物理的に反応を導く為、適切に使用すれば確実に効果につながる為、定期的に研究報告が出されていますね。

ですが、現実には限られた時間の中で満足度を得つつリハビリを実施していく為に、個別リハビリで制限時間が終わってしまうこともままあるとのことです。(効果の有無に関わらず、マンツーマンでの対応は意欲の向上に繋がることは確かですからね?)

ここに、物理的に実際的に改善する要素が加われば、なお改善が見込まれるのではないでしょうか?大切なことは一人でも多くの方が、少しでも改善することで、前向きな生活を取り戻すことだと思います。そのために、私たちははあの手この手を使ってがむしゃらにリハビリに取り組んで生きたいと思います。
2017年7月4日(火)
痙縮について
脳卒中において動作の阻害因子となるものの一つ、「痙縮」。今回はこの痙縮について説明してまいります。

まず、痙縮を乱暴に説明してしまうと、皆さんの想像する脳卒中後の筋のツッパリやこわばりがそれにあたると考えられます。ではそれはなぜ起こるのでしょうか?専門的に説明すると・・・


痙縮は脳血管障害や脊髄損傷等により生じる,上位運動ニューロン症候群の一つである.
上位運動ニューロン症候群の陽性症状は,痙縮の他に,深部権反射の亢進,クローヌス,バビンスキー兆候,スパズム,病的同時収縮,病的共同運動,病的連合反応などがあり,陰性症状は,麻痺,筋力低下,疲労等がある.
最近,運動機能回復は早期の大脳皮質の可塑性によるもので,一方,痙縮は網様態脊髄路の過剰な興奮によって生じるものといわれている.痙縮では運動機能回復の機序とは異なり,好ましくない可塑性が生じており,痙縮を生じさせないようなリハビリテーション(リハ)プロトコールを発展させることが重要である。(引用;CLINICAL REHABILITATION Vol.26 NO.7

・・・となっています。本来反射をコントロールすべき上位の中枢が障害を受けた結果、伸張反射が亢進し、異常な筋活動を生じてしまうのです。脳からの過剰な興奮性と脱抑制により、より力の入りやすい方向に助長されます。加えて、末梢神経から上位中枢へのフィードバックが減少してしまいます。
皆さんも一回試していただきたいのですが、足を閉じた状態で頑張って立位を保持しようとしてみてください。おそらく足は大地を踏みしめようとしっかり伸びた状態で、手は身を守ろうと体の近くに曲げた状態となるのではないでしょうか?これがより顕著に出た姿勢として、多くの場合、上肢で屈筋優位、下肢で伸筋優位となってしまうと考えていただければわかりやすいかと思います。。

つまり、さらに噛み砕くと、脳卒中の場合、脳の損傷によって脳から四肢などへの指令が減少し、四肢などからは現在の状態を脳へ正確に伝達することが出来ないため、過剰な興奮を引き起こしてしまうのです。

ですから、治療の方向としては、@中枢(脳)から末梢(四肢)に対する指令を増加させる、A末梢の動作を誘発させることで中枢へ働きかけを行う、という2つの大きな道筋が考えられるのではないでしょうか?





その詳しい内容についてはまた後日紹介させてください。
2017年4月18日(火)
麻痺と筋トレ
今日は筋力強化についての話をしましょう。

そもそも筋力を決定付ける要因は様々あるものの、大きな要因としては、神経系の要因と筋断面積があります。

神経からの指令が出来るだけ多くの筋繊維に適切になされなければ、せっかくの筋肉も宝の持ち腐れになってしまいます。もちろん、筋断面積が小さくなるということは筋肉自体が細くなっているということであり、当然筋力は低下します。

そこで、一般的に筋力強化を実施する際には、目的とする筋に対し最大筋力の2/3以上の負荷を掛けるような運動を実施するのです。

この効果は高齢者においても、筋肥大効果はやや低下するものの特に神経系の改善で強く認められております。これが動ける人は無理のない範囲で出来る限り運動をしていただきたい理由の一つです。

では、麻痺した場合はどうすればよいのでしょうか?

麻痺を生じた場合、自身の意思で手足等を動かすことが困難になります。これは、神経伝達経路の一部に障害を生じるためですが、つまり神経系の要因ということですね?では、麻痺を生じて活動量が減少した結果何が起こるかというと、そうです廃用症候群が発生します。廃用症候群によって筋萎縮が生じれば筋萎縮も起こることが考えられます。
逆に、痙性が強くなった場合はどうなるかというと、脳の神経伝達のコントロールがうまくいかず、抑制出来ないまま常に神経刺激が入り続けるため、筋肉は過興奮状態となります。その結果、場合によっては筋断面積の増加を生じることもあります。

ココでわかることは、麻痺したからといって必ずしも筋力増強が出来ないわけではないということです。当然、障害のない方に比べ意識的に運動することが出来ず、それを活用することも困難であるため、効果としては低くなってしまうかもしれませんが、こと筋肉に関しては問題は活動させているか否かだと考えています。

そこで当施設では、麻痺を生じていても活動を誘導する様々な方法を用いてアプローチしています。放っておいても悪化するだけのものなのであれば、例え効果が目に見えるものでなくても、見捨てずに全力を尽くしていくよう努力しているのです。

そして、このような治療が全国各地で実施することが出来るようになることを望んでいます。気になる方はいつでもご連絡くださいね?
2017年3月23日(木)
リハビリテーション科専門医について
皆さんはリハビリテーション科専門医というものをご存知でしょうか?

リハビリテーション科専門医とは、「病気や外傷の結果生じる障害を医学的に診断治療し、機能回復と社会復帰を総合的に提供することを専門とする医師です。専門医の資格は、リハビリテーション科が関与するすべての領域について、定められた卒後研修カリキュラムにより5年以上の研修を修め、資格試験に合格して認定されるものです。」

引用; 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会HPより


リハビリテーション科の医師は、何をするのかというと、(1) 障害のある方を診察し,必要な治療プログラムを立て、(2)療法士や看護師への教育及びリハビリテーションのための適切な指示を行い、(3)必要に応じて 神経ブロックや薬物治療の処方,機能評価としての各種検査(動作解析,筋電図,嚥下検査など)を実施します。

多くの疾患について診断が可能で、全身状態の悪化に対応する能力を持っていて、なおかつ、身体障害や高次脳機能障害の相談ができる医師と言えます。

つまり、本来ならばリハビリテーションを最も効果的にコンサルテーションできるのは、リハビリテーション科専門医であるということになります。ただし、未だ日本に現在3000名に足りない人数しかいないため、他科で診察されることが多い状態となっております。

大切なお体ですから、可能であるならば専門家からのアドバイスの下で治療を進めていきたいものですね?

ちなみに広島県には60名弱のリハ科医がおられ、そのうち20名弱が福山におられます。多くは急性期・回復期でご活躍されておられますが、中でも当施設の院長は生活期・維持期に特化しております。

退院後のリハビリなどで困られている方は是非一度ご相談ください。リハ科医の指導の下、教育を積んだスタッフがまずは対応いたします。今後のことを一緒に考えて見ませんか?
2017年2月8日(水)
上肢機能改善の報告
最近は新たな脳卒中リハビリの報告は見られにくくなっています。

一方でr-TMS に関する報告は続いているようです。新たな方面ではVRもイメージングの一環として出てきています。こういった最新の機器を用いた治療は施設としては中々導入しづらい面はありますが、興味深いものです。

ところで今回は、両上肢協調動作訓練についての続報について紹介していきます。



『片麻痺患者の両腕訓練が上肢機能及び日常生活動作改善に与える効果』


バックグラウンド:
両側上肢を同時使用する運動療法は、片麻痺患者の運動機能回復に役立つことが知られている。しかし、両腕訓練が上肢機能の改善と日常生活動作(ADL)の活動向上に与える効果に関する研究は不足しているため、今回検証を実施した。

方法:
本研究では、脳卒中片麻痺患者30名を、ランダムに実験群と対照群を各15名ずつに分けた。すべての患者は8週間にわたって週に5回、30分間持続する作業療法を受けた。実験群は、30分間持続する両腕訓練を追加し、対照群は一般的な作業療法を追加した。評価には、Fugl-Meyer評価(FMA)、Box and Block Test(BBT)、および修正Barthel指数(MBI)を使用した。

結果:
実験群および対照群の両方において、FMA、BBT、およびMBIスコアは、有意に改善を認めた。各種評価は、実験群で対照群よりも大きく変化を認めた。

結論:
一般的な作業療法に両腕訓練を追加することは片麻痺の上肢機能とADLパフォーマンスを向上させるため、より効果的であることが示唆された。


最近でもこのように両上肢協調動作訓練に関する報告はなされております。日常生活においても30分程度雑巾がけ運動を行う程度であれば、継続可能なものではないでしょうか?無理な体勢さえとらなければリスクも低いものですし、やって損は無いものだと思います。継続は力なり、今日からはじめてみませんか?
2017年1月12日(木)
新年のご挨拶
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。

今年は、施設内の様々な面で変化がありとても忙しい上半期となっております。

具体的には、スタッフユニフォームの変更に始まり、トイレの増設・交換や床の張替え、空調の変更、壁の塗り替えなど、これまで幾度と無く検討してきた施設改善がかなうことになります。

もちろんリハビリはこれまで以上にがんばってまいりますが、来所いただいた方々に気持ちよく過ごしていただけるよう努力をしてまいります。

落ち着いたら、情報なども随時提供してまいりますので、本年もよろしくお願い申し上げます。
2016年12月7日(水)
プラトーについて
今年も後わずかになってきました。

リハビリに携わっていると色々な経過を辿った方に出会います。ある方は受傷後も人生を楽しまれつつ、さらに上を目指すためにリハビリに取り組まれております。またある方は回復しないと何もする気にならないとふさぎ込む人もいます。

では、どこを目指していくのが正解なのでしょうか?

もしも明確な到達点があるのであれば、みんなが前を向いて進めるものなのでしょうか?


機能回復の中で「プラトー」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
このプラトーという言葉は一種の停滞をさすものですが、転じて限界をさすものとして表現されることが多いようです。

確かに、予後予測を含め治療にはゴール設定がなされるべきものであり、そのための一つの指標として回復曲線に代表される、所謂「6ヶ月の壁」をプラトーとすることが多いのです。

さて、このゴール設定ですが、三木の予後予測などを用いて行われます。皆さん勘違いしやすい点なのですが、あくまで予測ですので『確定した事実』ではありません。では、外れる場合どういう結果になるかというと、多くの場合、予後予測よりも回復します。予測以下ということは経験の中では聞いたことがありません。

なぜでしょうか?

これはあくまでも私見ではありますが、予測以上に改善しても困る人がいないからではないでしょうか?逆に、予測以下となってしまうと、何か問題があったのかということにもなりかねませんしね?
それでも、家族や本人としてはよりよい結果を聞きたいものですし、その結果それ以上は期待しないよう言われているのかもしれません。

現在、「脳の可塑性」について語られることが多くはなりましたが、実際にはこの考えが広がったのは最近の話です。それを加味した上でどこまで回復可能か?という疑問について明確に指し示すことは困難であると考えています。ですから、最低限ここまでは回復可能であり、そこからの回復は目に見えたものは難しいかもしれないという点をプラトーとおくのだと考えられないでしょうか?

そう考えると、奇跡の回復が時折テレビで見られるのも理解できるところです。

一応、確認しておきますが、今回の話は「プラトーといわれてもそれ以上確実に改善する」という話ではなく、「プラトーは確定された事実ではない」という話です。

ここまで踏まえて、最初の議題に帰ります。脳卒中による障害が長い年月を経て少しずつであるならば回復する可能性があるとした場合、あなたなら「回復した後に人生を楽しむ」ことを選びますか?「人生を楽しみつつ回復を目指していく」ことを選びますか?

私たちは、来年も一人でも多くの方が幸せになるよう、全力を尽くして生きたいと思います。
2016年10月27日(木)
両上肢と単上肢
今月は、片麻痺上肢の改善につながる研究に関して紹介いたします。

この研究は韓国で実施されたもので、「慢性期脳卒中患者に対する両上肢協調動作訓練の効果」についてです。

前提として、これまでのリハビリ(CI療法や課題指向型訓練など)では麻痺側上肢のみでの運動に焦点が当てられてきました。
単上肢訓練では脳の同一半球の抑制及び反対側の活性化を目的として行っていますが、両上肢訓練では抑制効果は減少し、左右の大脳半球の活性化が起こることが知られています。
今回はその有用性を検証したものとなります。

対象;
慢性期脳卒中患者25名(単上肢グループ12名・両上肢グループ13名)

方法;
いずれも4週間のリハビリに参加してもらいます。訓練は以下の3つの課題で構成されています。
  @リング吊りタスク
  A雑巾がけタスク
  B水のみタスク
単上肢グループでは麻痺側のみで実施。両上肢グループでは、それぞれの課題を左右の上肢で同時に実施させ、困難な場合は麻痺側を非麻痺側でフォローする形をとった。

評価;
機能面に関してはbox and block test・運動学面に関しては3次元解析を実施

結果;
box and block testに関しては優位な差は認められなかった。また、3次元解析によると、肘関節の動作においても両上肢・単上肢において優位差は認められなかったが、肩関節の運動に関しては両上肢で顕著な改善を認めた。

結論;
両上肢訓練と単上肢訓練を比較して肩関節の動作の改善を認めたのは、運動時に体幹による代償動作が発生しにくかったことに加え、ミラーニューロンの活性化が図られたことが原因と考えられます。よって、両上肢協調動作訓練は慢性期脳卒中患者に対する上肢機能向上に有用であると考えられます。




☆少し難しい内容でしたが、片麻痺になると、非麻痺側を主として使用するようになるため、どうしても大脳半球間で活動性にアンバランスが生じてしまいます。このアンバランスによって生まれるのが不使用の学習だと言われています。簡単に言うと、脳が麻痺側を使わないことに慣れてしまうということです。このアンバランスを改善していくということが一つの考え方としてあり、今回は一方的に麻痺側だけを使うのではなく、両上肢を使うことでアプローチしているのです。
毎回同じ課題を実施していると小脳の働きが減少するという文献も見たことがありますが、脳神経の改善という目的のために様々な方向からアプローチをかけていくことはとても重要なことですね?
2016年9月15日(木)
低負荷と高負荷
今日は最近の文献で興味深かった内容について紹介していきます。
まずは、「脳卒中経験者に対する低強度持久力及び筋力トレーニングの歩行に関する効果」についてです。

目的;
地域密着型の持久力・筋力向上を目的としたアプローチにおいて高強度のものよりも低強度のものでより効果的であると仮定し検討する

対象;
脳卒中経験者35名

方法;
対象は無作為に低強度グループ18名、高強度グループ17名に分けられた。低強度グループでは1〜8週は間欠的歩行と5〜8週に携帯型器具を用いた筋力トレーニングを実施した。高強度グループでは1〜8週はトレッドミル歩行で5〜8週にはジムマシーンを使用した高負荷筋力トレーニングを実施した。
結果は、6分間歩行及びQOL・歩行速度・Berg Balance Scale・下肢筋力で評価した。

結果;
低強度グループにおいて、6分間歩行・QOL・最大筋力が顕著に改善を認めた。歩行速度やバランス能力については両者で改善を認めたものの有意差は認められなかった。

○感想:
低強度かつ無理のないアプローチを行ったことで持久力やQOLが増加することは想像に難くないところではありますが、驚いたことに最大筋力に関しても効果的であったとのことです。


これは、今回の対象が脳卒中経験者であったため、麻痺の存在が影響しているのかもしれません。つまり、高負荷による筋力強化を得意とするジムマシーンの適切な使用が困難であり、むしろ低負荷で繰り返し反復的に筋活動を誘導したことが結果としてより効果を発生させることを可能にしたのではないかと考えられます。

つまり、ただ闇雲にアプローチを行うのではなく、その病態や障害の特性を理解したうえでアプローチを行っていくことが重要ということではないでしょうか?

なんにせよ、楽しみつつ機能回復を図ることが出来るのであればとてもすばらしいことですね?
2016年8月23日(火)
☆ニューロリハビリテーションについて
最近、某番組内にてニューロリハビリテーションに関する話題があり、当施設を利用されている方々からも様々な反響がありました。それもそろそろ落ち着いてきたころですので、先日の症例に関して考察してみたいと思います。

まず、病名としては脳内出血ということです。脳内出血というのは脳の中の血管が破裂し、その血管が本来栄養を届けるはずだった部分の脳へのダメージに加え、血腫による脳の圧迫などによるダメージも引き起こされます。

今回は右脳に4.5cmの血腫とのことです。この血腫というものは大きいものでは手術により除去することもありますが、小さいものや手術では取り除くことが困難な部位にあるもの関しては、自然に吸収されるのを待つことになります。今回の場合特に触れられておりませんでした。画像上、右の被殻を中心としたもののようにみえます。被殻のみの小さな出血では本来麻痺は起こりませんが、殆どの場合被殻から少し外側にある内包へ出血し、その部分の障害で運動麻痺と感覚障害がでます。

症状は左片麻痺で初期では完全麻痺且つ感覚も無い状態とのことでした。発症から2日後、友人の声掛けによって麻痺側のリハビリを開始したとのことです。残念ながらADLの経過に関しては特に触れられていませんでしたが、念じ続けて4日後には随意性を取り戻し、親指だけからその他の指へ、また下肢についても同様に改善を認めたとのことです。

締めとして、念じるということはニューロリハビリテーションに通じる部分があり、これが通常のリハビリに加えられたことでこの顕著な改善が認められたのではないか?ということでした。確かにイメージングに関しては海外でも報告はあがっており、ミラーニューロンとのつながりについても指摘されております。



ここからは考察です。少し否定的な意見も含まれますので、あらかいじめご了承ください。こういった症例報告の場合、それを行った場合と行わなかった場合で比較が出来ないため、何が良かったのかは判別困難なものであるという点をまずご理解ください。ある人で効果的であったとしても、それが万人においてそうとは限らないということです。

つまり何が言いたいかというと、これは私個人の見解ですが、今回の症例に関しては、リハビリの効果として今回の変化が起こったのか、自然経過としてよい経過を辿ったと判断するべきなのかが判別困難だと考えました。

ご存知かもしれませんが、一般的に脳卒中では6ヶ月を一つの目安とする考え方があります。これをプラトーの境界線とするかどうかはさておき、脳の自然回復と同期する部分はあると考えています。例えば血腫の吸収や脳の浮腫の軽減はある程度期間が必要であり、これらが起これば必然的に機能面の改善が起こるため、発症直後の急激な変化に関しては、こちらの可能性が高いと考えられます。もちろん、それ以降に大きな変化があれば話しは別なのですが・・・
文献上でも、早期からニューロリハビリを行う是非については諸説ある点になっています。

ですが、脳神経の再構成を促そうとする場合、反復量がある程度必要であるというのは文献上でも経験上でも明らかです。もしよくなる可能性があるのであれば、なんでも試してみることは悪いことではありません。特に今回のように低リスク・低コスト且つ根拠として考えられるものがあるのであればなおさら良いですね。一番は皆さんが少しでもよくなってくださることです。ただし、いつも言っているように、機能障害の改善は重要なことですが、その他にも人生を楽しんでいくことも重要です。あのテレビの方のように、楽しみながらリハビリに取り組んでいただけると幸いです。
2016年7月11日(月)
☆脳卒中後遺症のリハビリに関する当施設(クリニック・リハビリセンター含む)での取り組み(Iその他編)
「その他」としてあげましたが、基本的には精神症状について説明します。

<脳卒中における情動の変化>
脳卒中後に感情に変化が起こりやすいことはあまり知られていないようですが、実は良く見られることです。

脳卒中後に・・・
 ●イライラしやすくなった
 ●我慢が出来なくなった
 ●すぐに怒るようになった
 ●なんでもないことで急に泣くようになった
 ●ちょっとしたことで笑いが止まらなくなった
 ●落ち込みやすくなった
 ●趣味・嗜好が変化した
なんてことはありませんか?所謂、「性格が変わった」と表現されるような事案です。

<情動の変化の原因は?>
これらは様々な原因で発生しております。例えば、直接的な原因としては脱抑制・感情失禁・鬱症状などがあります。また、高次脳機能障害や身体障害の存在によって様々な困難事項が発生し、それへの葛藤によって二次的に感情の問題が現れる場合もあります。
これらは実に分かちがたく、複雑に絡まっていることが多いのです。ですが理解しにくいがゆえに様々なトラブルも発生しがちです。

<例えば?>
ひとえに病気になってからよく泣くようになった、といっても、感情失禁によって感情のふり幅が大きくなっていることが原因かもしれませんし、鬱症状のサインかもしれませんし、機能障害に対する悲しみかもしれませんし、能力障害によって手助けしてもらっていることに対する申し訳なさかもしれませんし、もちろんそのいずれかないし全てが関係しているのかもしれません。

<どう対応すればいいの?>
感情失禁のみであれば時間経過とともに落ち着かれることも多いですが、機能障害に関しては徐々に受け入れていただくことも必要ですし、能力障害に関しては出来ることが少しずつ増えていけば自信につながるかもしれません。鬱症状に関しては心療内科への受診が効果的であると考えられます。

<まとめ>
感情の問題に関しては、周囲の方も戸惑われることも多いかと思われますが、実は本人もコントロールできずに混乱していることがままあります。当施設には精神科はありませんので、具体的にカウンセリングや投薬を行うなどの処置するということを主とするわけではありません。しかし、リハビリを行っていくうえで避けては通れない問題であることは紛れもない事実です。ですから、今までも可能な限り本人と向き合い、症状を理解し、各人にあった対応を行うことで、感情の問題と付き合ってきました。これからもそんな施設でありたいと願っております。
2016年7月5日(火)
☆脳卒中後遺症のリハビリに関する当施設(クリニック・リハビリセンター含む)での取り組み(H脳卒中特有の疼痛編)
<脳卒中特有の疼痛とは>
そもそも疼痛とは、外部からの有害な刺激や、体のどこかの異常を知らせる警告であり、生きていくために欠かせない情報です。ですが、ご存知のとおり、痛みは不快且つ苦痛なものです。
いわゆる『しびれ』も同様の役割があり、「感覚鈍麻あるいは感覚消失」と、びりびり等の異常感覚にわけられます。
さて、脳卒中において疼痛が生じる場合はどのような場合でしょう?例えば、拘縮などによって関節可動域に制限がある場合、伸張時に疼痛がある場合があります。また、痙性によってどこかに圧迫が生じている場合にも疼痛は生じます。また、強い異常感覚が生じた場合にも疼痛(正座で足がしびれた場合「痛い!」と感じますよね?)は生じます。これらが単独もしくは複合して起こっているわけですが、目には見えず、且つ感覚とは言語表現することが困難なものであるため、理解することが大変難しいものなのです。

<脳卒中特有の疼痛の現状>
脳卒中後の疼痛を時期別、種類別に調べた場合、約30%の人が疼痛を経験したことがあるそうです。
そのうち、14.06%が急性期、42.73%が亜急性期、31.90%が慢性期に起きています。
頭痛は急性期に見られることが多いようです。一方、筋や肩の痛み、中枢性疼痛は亜急性期、慢性期に多いそうです。前回説明した痙縮による痛みは慢性期に多く現れたとのことです。
ですが、投薬治療を受けている者は25%未満となっており、治療対象にないことも多いようです。

<脳卒中特有の疼痛の問題点>
原因が判然としない場合に、漫然と痛み止めを処方しても効果が認められないこともあり、対応に苦慮することが多いことが問題点の一つです。特に中枢性疼痛(物理的要因ではなく脳から痛み信号が発せられてしまう状態)では投薬以外には特殊な機械を用いた方法も考えられていますが、設備的に誰にでも受けられるものではないということも大きな問題となっております。

<脳卒中特有の疼痛への対応>
原因がはっきりしている場合には、まずはそれを取り除いていくことが最優先事項となります。痙性もそうですが、装具によるあたりや拘縮による伸張時痛などに対しては個別の対応が求められます。また、中枢性の疼痛に関しては、rTMSDBSが有効との報告もありますが、諸説あり現在検証が行われているようです。一般的にはやはり投薬治療が概ね良好な成績を収めているようです。

<当施設での取り組み>
もちろん必要があれば、クリニックにて投薬によるコントロールも行ってまいりますが、まずは原因となるものはないかを検討するところからアプローチを開始します。疼痛は多くの場合表現が困難であり、麻痺した部位では症状を正確に伝えることが出来ない場合もあります。だからこそ、徹底したあぶり出しが効果を発揮する場合があるのです。せっかく改善する可能性があるかもしれないのに、見落とすのは残念なことですからね?ただし、全ての疼痛を取りきれるわけではありません。ですが、痛みの中リハビリを進めていくことは困難な場合もあります。そんな場合、当施設ではTENSなどを用いて痛みを和らげつつリハビリに参加していただくようにしています。
2016年6月28日(火)
☆脳卒中後遺症のリハビリに関する当施設(クリニック・リハビリセンター含む)での取り組み(G痙縮編)
<痙縮とは>
「上位運動ニューロン兆候の1つであり、他動的ストレッチに対して反射亢進と速度依存性の抵抗を特徴とする運動障害のこと」とありますが、少し難しいので噛み砕くと、『他の人が曲げ伸ばししたときに抵抗を感じる状態で、特に早く動かすと強く感じます』ということになります。通常は筋緊張は常時(睡眠中でさえ)コントロールされていますが、脳卒中では特に抑制(力を抜く)というコントロールが不良となるため、何か力んでしまった場合に過剰に力が入ってしまいます。

<痙縮の現状>
現状ではいわゆる「片麻痺」に含まれていることが多いようです。これ単体で生活が出来なくなる問題ではなく、基本的に入院中はADLの大きな阻害にならない限りは優先順位を他に譲ります。

<痙縮の問題点>
ADL上、痙縮があるから行動できないという場面に出会うことは実は少ないです。下肢の痙縮が強い場合装具を使用している場合が多いですし、上肢の痙縮が強くても方法さえ学べば更衣も可能です。ですが、退院後の長い人生で考えると、活動範囲が広がれば広がるほど邪魔になるものですし、時には疼痛を生じる場合もあり対応が必要な場合があります。

<痙縮への対応>
痙縮の治療には様々なものがあります。比較的本人の負担の少ないものとしては、ストレッチや関節可動域訓練があります。長期効果については疑問の声もありますが、実施中の筋緊張抑制効果が認められており、スプリント療法を含め継続的に実施していくことで効果を示すものだと考えられます。また、医療的側面から見ると、投薬による管理も重要です。これは内服薬によるものも効果的ですし、以前話題になったボトックスやモーターポイントブロックなどの神経ブロックも有効です。加えて、近年では電気刺激を用いた痙縮治療も効果が認められるようになっています。

<当施設での取り組み>
基本的には上述のエビデンスに則したアプローチを実施します。特に、その効果に対して身体的にも精神的にも負担の少ない電気治療に関しては徹底的に実施します。また、伸張訓練に関しても、徒手だけでは不可能な長時間の持続伸張を実施することで改善を図っております。

こうした痙縮治療は一見特殊なアプローチに見えるかもしれません。ボトックスなど行うと、さも特別な治療をした可能様な錯覚に陥ることもあるかもしれません。しかし、これらは実は単なる基礎的な治療です。リハビリを行うのであれば基本的に取り組んでいかなければならないアプローチです。ですので、これらの治療を行ったうえでさらにリハビリを進め、回復を目指していきましょうね?
2016年6月20日(月)
☆脳卒中後遺症のリハビリに関する当施設(クリニック・リハビリセンター含む)での取り組み(F廃用症候群編)
<廃用症候群とは>
廃用症候群とは、安静状態が長期に渡って続く事によって起こる、さまざまな心身の機能低下等を指します。特に病床で寝たきり状態でいることによって起こる症状が多いものです。
これは特殊な病気が原因となって起こる症状ではなく、誰にでも起こりうるものです。ある報告では、1週間の安静臥床によって全身の筋力の10〜15%もの低下を認めるとしています。

<廃用症候群の現状>

この廃用症候群に関しては、近年になって大きな見直しが行われており、以前のように病気=安静臥床という図式は崩れつつあります。もちろん、安静臥床が必要な場合もありますので、一概には言い切れませんが、それでも最近では適度な運動が進められる場合が多いです。

<廃用症候群の問題点>

安静が続くことが原因で廃用症候群が発生するのであれば、活動性を高めれば予防が出来るという点については納得いただけるかと思われますが、問題は一度廃用症候群を呈してしまった場合です。改善のためには活動しなければならないにも関わらず、現状が活動できないという状態が最も困難な状態なのです。
ここで脳卒中という病気に目を移してみましょう。おそらく最も有名な症状は片麻痺です。麻痺した筋肉を自力で且つ十分に活動させていくことは可能でしょうか?

<廃用症候群への対応>
一般的に筋力強化を図るのであれば最大強度の負荷が有効であるといわれています。しかし、脳血管障害では再発のリスクを考慮し、その実施は困難です。しかも、廃用症候群では全身体力の低下が問題となっていますので、脳卒中ガイドラインにおいても、勧められているのはトレッドミル・エルゴメータ・反復運動といったものです。特に酸素を併用したアプローチは有酸素運動能力・歩行能力・身体活動性・QOL・耐糖能など、多岐にわたる効果が認められているようです。

<当施設での取り組み>
廃用症候群は基本的に予防されていなければなりません。このように、活動性が低いことが原因となって引き起こされた問題は、なんとしても活動させなければ改善は図れません。その気になれば出来るのであれば問題はありません。ですが、麻痺がある場合には、やる気はあっても出来ないということも確かにあります。当施設では、そのような問題に対して、もちろん有酸素運動は行いますが、電気治療を追加アプローチとして組み込みます。電気刺激の補助によって、半強制的な運動(筋収縮+関節活動)を反復的に実施することで、廃用症候群の予防・改善を図っているのです。

もちろん、当施設だけでのリハビリではなく、普段から活動量を上げていくことは重要なことです。せっかく頑張ってリハビリをしているのに体を弱らせてしまってはもったいないですね?効率的にリハビリを行っていきましょう。
2016年6月13日(月)
☆脳卒中後遺症のリハビリに関する当施設(クリニック・リハビリセンター含む)での取り組み(E嚥下機能障害編)
<嚥下機能障害とは>
一般には摂食・嚥下機能障害と呼ぶことが多いかもしれません。
摂食嚥下は先行期・準備期・口腔期・咽頭期・食道期に分かれます。まずは食べ物を適切に認識し口へと運び(先行期)、口の中で噛み砕いて飲み込みやすい形にします(準備期)、次に食物を一まとめにして咽頭へ送り込みます(口腔期)、送り込まれた食物を気道に入れることなく食道へと送り(咽頭期)、食道から胃へ移行する(食道期)ことで嚥下が完了します。
このいずれかの場面で問題が生じたものを嚥下障害というのですが、それが認知機能の問題なのか?口唇の問題なのか?舌なのか?はたまた咽頭部の問題なのか?などなど様々な可能性が考えられます。

<嚥下機能障害の現状>

嚥下は食事に直結する問題であり、食事は栄養摂取すなわち生命維持に関する問題であるため、とても重要視される問題です。一方で、退院までの期間は実質決まってしまっているため、その期間中に可能な限り常食に近い形で、且つ誤嚥性肺炎などのリスクが限りなく少ない形が選定されます。方法としては実際にチャレンジしてその後発熱などないか経過を追うだけという形もありますし、VFやVEのように映像を確認しつつ行う方法もあります。十分な評価が実施されたうえで各種アプローチを実施していくようになります。

<嚥下機能障害の問題点>
最も問題な点は、認知機能同様外側からは十分な観察が困難であるという点にあります。最も簡易な評価である観察が出来ない以上、必要な物品がそろっていない環境下では雑音の有無や発熱など症状を手がかりに進めて行くほかありません。ただし、食事は一歩間違うと命に係る問題です。あまり無謀なことは出来ないため、手探り状態で進めることもままあります。このことが黙認されていること自体問題だとは思いますが・・・。
また、詳細な評価なしでは適切な食形態の選定も出来ないという報告もあります。実際、ある研究では嚥下困難感を感じた患者に詳細な評価を行ったところその3〜4割が過大評価であったとするものもありました。

<嚥下機能障害への対応>
結局のところ、適切な評価を行い、それに対応するアプローチを行うことが重要なのです。検査の結果、咀嚼が困難なら食形態の工夫が必要かもしれません。食道入口部の開大不全があれば頚部のポジショニングやバルーンでの拡張を図ることも重要であると考えられます。舌での送り込みが困難ならば重力を利用するため体感のポジショニングも必要かもしれません。喉頭蓋の動作が不十分であればメンデルゾーン手技も有用かもしれません。感覚への冷却刺激も行われることが多いかと思います。

<当施設での取り組み>
ここでもやはり画一的なアプローチはなく、十分な検査の上アプローチを行っていくことが大原則です。当院ではVEを採用していますが、こうしてリハビリを進めていただいた方の中には、胃瘻(ろう)から離脱できた方もいらっしゃいますし、食形態の変更がかなった方もいらっしゃいます。

何よりも誤嚥性肺炎が起こってしまってはせっかくの楽しい食事も取れなくなってしまいます。食事は人生の生きがいの一つです。これを守っていけるよう関係各所がきっちりと仕事を行い、努力をしていていかなければなりませんね?
2016年6月6日(月)
☆脳卒中後遺症のリハビリに関する当施設(クリニック・リハビリセンター含む)での取り組み(D言語機能障害編)
<言語機能障害とは>
脳卒中における言語障害をごくごく簡単に説明してしまえば、「話す・聴く・読む・書く」に大別することが出来るかと思います。
他の分類としては、構音障害と失語症というものもあります。
話す機能の内、筋肉の麻痺等が原因で口や舌の運動機能が障害をうけたものを構音障害といいます。
一方、失語症でも音を作ることが困難な場合がありますが、こちらは多くの場合各種運動自体は可能であるものの、適切に動かすことが出来ない状態にあります。
もちろん、失語症と構音障害を併発する場合もあります。
さらに上記のごとく言語機能は発話だけではなく、その症状は各人によって千差万別となっており、画一の対応をすれば完璧というものはありません。

<言語機能障害の現状>
ADLにおいてもコミュニケーションの項目が存在するように、日常生活に密接に係っている反面、セルフケアだけを考えると、障害の与える影響は少なくなってしまいます。介護保険においても、言語障害が例え重度でも判定が軽度と出ることは少なくありません。
また、認知機能障害同様回復の速度は遅く、短期的な効果の出ずらい物です。ただし、研究上10年単位で徐々に改善が認められた例もあり、入院中だけのリハビリでは不十分であると考えられます。

<言語機能障害の問題点>
リハビリは本来社会参加を目的として行われてきたものですが、現在の言語リハビリの方向性は机上且つ密室で行われることが多いのが現状です。現状の制度上、個別リハビリの形をとらざるを得ないため、致し方ないところではあります。しかしその結果、全例ではありませんが、「セラピストとは意思疎通が図れるのにその他の場面では難しい」といった方もいらっしゃるようです。

<認知機能障害への対応>
ガイドラインによると、言語機能への対応は教育を受けたスタッフが行うだけでも効果があるとする結果が出ています。また、失語症があっても積極的に発話を行う失語症CI療法というものも効果を上げているものがあるようです。
つまり、コミュニケーション場面を出来る限り多くセッティングすることが有効だということです。
ただし、闇雲に取り組んでも逆効果な場合もあります。特に、左脳損傷の方ではうつ病になりやすいという結果もあり、適切な対応が必要だからです。
ですので、いつもお伝えしていることですが、きちんとした評価が必要なのです。SLTAやWABなど様々な検査がありますが、それを分析し関係各所へ得意なこと不得意なことを伝達し、対応を定めておくことでコミュニケーションを促していくことが必要なのです。

<当施設での取り組み>
当施設ではSLTAを用いて評価を行います。その結果をもとに、得意分野の拡大をまず図り、意思伝達が可能になったところで苦手分野にも着手していきます。まずは本人にとって負担が少ないと感じられるところからはじめ、意欲が向上したところで少しずつ進めていくのです。
また、当施設では挨拶を徹底して練習していきます。これは、第一に頻出語であるということ、第二に高確率で返答がある(最小単位のコミュニケーションが成立する)ということ、第三にモーラ数(文字数)が少ないということがあげられます。

もちろん、人によってアプローチは変更していきます。多くの方で自身の思いが伝わらないということは一様に苦痛であり、反面伝わったときのうれしさ・安堵感は私たちの想像以上のもののようです。その手助けが少しでも出来た時、私たちもうれしいものです。対応一つでその人のこれからが大きく変わってくるかもしれません。理解しづらいからといって一つの職種に委ねるのではなく、みんなで携わっていきましょうね?
2016年5月30日(月)
☆脳卒中後遺症のリハビリに関する当施設(クリニック・リハビリセンター含む)での取り組み(C認知機能障害編)
<認知機能障害とは>
専門的には高次脳機能障害と言われる、様々な認知機能(注意・遂行機能・記憶 等)における障害です。よく混同されるのですが、いわゆる認知症とは似て非なるものになります。例えばアルツハイマー型認知症では徐々に進行していきますが、高次脳機能障害は基本的には症状は安定しています。
※ただし、脳血管性認知症では脳卒中が再発されるごとに高次脳機能障害が階段状に低下します。

<認知機能障害の現状>

脳卒中経験者の場合、多くの場合が大なり小なり認知機能に何らかの障害をおっている場合があります。しかし、基本的には急性期・回復期では日常生活に大きな影響がない限り、生活面のリハビリが優先されるようです。例えば運転再開や復職などの応用場面では問題が生じるものの、入院中にはノータッチであったという例も少なくはありません。

<認知機能障害の問題点>
一番の問題点は、目には見えない障害であるという点です。手や足の障害の場合、本人はもとより周囲の方も問題を把握することは容易です。ですが認知機能障害の場合、目には見えず、本人の行動によってのみ現れるものであるため、理解をすることが周囲の人はおろか自身ですら大変困難なのです。重度の場合は自身のミスに気づくことすら出来ず、反省が出来ないため、改善に向けた行動が取れない場合もあります。

<認知機能障害への対応>
基本的には評価が重視されます。一方で、代償手段によるミスの軽減や実際の日常生活場面での反復動作も重要です。半側空間無視に関しては耳への冷水刺激やプリズム適応なども効果的であるといわれていますが、特殊なアプローチは日常生活に活かしにくく、やはりなるべくエラーのない状態での反復動作が勧められます。

<当施設での取り組み>
退院後の生活期では、残念なことにほぼ評価を受けるという場面がなくなってしまいます。それは四肢の麻痺に関してもそうですが、特に認知機能障害では顕著です。一般的には介護保険のみでリハビリを提供している場合が多いのですが、その場合専門的な検査はコストの関係上、非常に難しいと考えられます。
当施設では高次脳機能障害に相対する場合、まずは評価を実施します。その評価は多岐にわたり、面談による本人・家族の自己評価から始まり、MMSEなどのスクリーニング検査を経て、BIT・BADS・コース立方体組み合わせテスト等の専門的な検査を必要に応じて実施します。まずは、その人の状態を正確に把握することは重視するのです。(これには本人の負担というものを除けば、いくつか利点があります。それは、リハビリ提供側が本人の状態を理解して接することが出来るので、余裕を持った対応が可能になるということ。また、本人がミスした場合にも理由を説明できるということで、不安の軽減が可能だということ。加えて、ご家族様に状態を説明できることにより、ストレスを幾分か軽減することが可能となるということです。)
その上で、各人にあった適切なアプローチを、本人・ご家族・関係各所の協力の下、徹底して提供してまいります。

基本的には、認知機能障害の改善は数年から数十年かけて徐々にみられていくものです。その経過はまれに劇的な場合もありますが、多くの場合短期的には目には見えないことが多いのです。そんなときに、納得していただくために、日々説明を積み重ねていかなくてはならないのです。
2016年5月23日(月)
☆脳卒中後遺症のリハビリに関する当施設(クリニック・リハビリセンター含む)での取り組み(B上肢機能障害編)
<上肢機能障害とは>
いわゆる「手」の問題です。多くの場合、下肢同様に上肢にも麻痺が生じます。全く力が入らないという段階から力が入りすぎるという方もいれば、ぎこちなさが残る程度という方もいらっしゃいます。

<上肢機能障害の現状>
人間の手というものはとてもハイスペックなものです。本来両手で行っていた行動も片手で実施可能にしてしまうほど利便性の高いものとなっています。一方でそのコントロールも困難なため、回復の困難な機能でもあります。
つまり、在宅復帰を目的とした場合、大部分を代替可能且つ回復の困難なこの上肢機能は最も後回しにされるものの一つかもしれません。
場合によってはスタートラインからして『諦めましょう』から入ることも珍しくはありません。

<上肢機能障害の問題点>
前述のとおり、『諦めましょう』から始まる手のリハビリは本来以上の困難さがあります。
まず、治りたいという欲求に反してやってやろうという意欲が低下してしまっています。その為、仮に可能性があっても諦める口実となってしまいます。
加えて、下肢に比べ代替手段の便利さも一つの問題です。下肢はどうやっても麻痺側を使用していくことが求められますが、上肢では、使用せずに様々な行動することを長年にわたり学習してしまうこと(学習による不使用)も問題の一つです。

<上肢機能障害への対応>
上肢機能に関しては、多くの文献で脳機能の再構築(再マッピング)の可能性が示唆されております。簡単に言うと、反復学習でもう一度動かし方を覚えていくということになるでしょうか。覚えるためには、なんでもそうだとは思いますが、反復的に動作を繰り返していく必要があります。もちろん、それまでに不使用があった場合、当然廃用症候群が多かれ少なかれ生じていますので、その改善も必須です。

<当施設での取り組み>
そこで、当施設ではTESなどの筋力強化に加え、TENSによる痙性抑制及び感覚へのアプローチといったベース面の改善に加え、さらには反復的交互回転運動や麻痺側の半強制使用を行ってまいります。
また、一般的に麻痺側の使用を行うCI療法では、上肢機能の比較的良好な方に対象が限られてしまうため、当施設では専門の装具やIVESといった各種道具を用いることで独自に対象を広げております。

ただし、リハビリは魔法ではありません。努力されている多くの方で改善は認められておりますが、その改善はもしかするととても小さなものかもしれません。ですが、どんなに小さな積み重ねも一日一日重ねていけば数年後には形となって現れることもあります。何もしなければそのまま、ないしは今ある能力を失ってしまう可能性もあります。大切なのは一歩進めるかどうかです!

あなたはどんな選択をおこないますか?
2016年5月16日(月)
☆脳卒中後遺症のリハビリに関する当施設(クリニック・リハビリセンター含む)での取り組み(A下肢機能障害編)
<下肢機能障害とは>
いわゆる「足」の問題です。わかりやすいのは歩行ですが、移乗や立位保持とも係わってくるものであり、ベース面の移動を伴うADLと関連性の高い障害になります。

<下肢機能障害の現状>

生活期に移行する場合、問題となるのは下肢機能の程度でもなければ、歩行が可能であるかどうかでもなく、自宅で生活できるか否かに尽きます。独居であれば求められる能力は高くなりますし、物的・人的サポートが充実いしていればどんな状態でも問題ではなくなります。よって、自宅復帰したからと言って必ずしも歩行が可能という意味ではありません。

<下肢機能障害の問題点>
経験上、自力で麻痺側を動かすことのできる方であれば、歩行も可能になることが多いように思われます。『多い』としたのには理由があります。麻痺以外の何らかの要因が加わらなければ、という条件付きですね。問題点は失調であったり極端な認知機能の低下もあがります。ただし廃用症候群がメインの問題であることも少なくはありません。

<下肢機能障害への対応>
さて、下肢機能障害への対応ですが、一般的にはできるだけ早期から反復的に動作を行うことが勧められます。また、必要に応じて装具を使用しつつ、場合によっては痙性抑制のための手段を打たねばなりません。

<当施設での取り組み>
そこで当施設では、それまでに装具の着用を行われていない場合であっても、できる限り早期から下肢装具などの検討を行い、より良い歩行・移乗へとつなげていく準備を開始します。さらに、麻痺以外の面における問題点の抽出を各種検査によって行います。ここで問題が発見された場合には併行してアプローチをおこなっていきます。
トレッドミルもそうですが、交互回転運動に関しても歩行改善効果が認められるとの報告がありますので、酸素吸入を行いつつ最大限の負荷で効率的に運動を行います。
筋力強化に関しては、TESも有効な手段として使用します。
また、痙性抑制にはTENSを実施しつつ、場合によってはボトックスを使用する場合もあります。
最も重要なこととしては、いかに歩行する時間を確保するか?ということになりますが、当施設では、歩行をセラピストが対応する場合に限るのではなく、来所中には可能な限り歩行で移動していただくことで量の確保を行います。

本気で回復を目指すのであれば、数十分の中に全てを詰め込んでも絶対に足りません。現時点に甘んじるのではなく、さらに上を目指すため、各人の協力が必要不可欠なのです。
2016年5月10日(火)
☆脳卒中後遺症のリハビリに関する当施設(クリニック・リハビリセンター含む)での取り組み(@ADL障害編)
まずはADL障害についてです。といっても、皆さんADLってなんだかご存知でしょうか?

<ADLとは>

ADLとはActivities of Daily Livingの略称になります。Activitiesが動作、Daily Livingが日常生活をさし、日本語では日常生活動作となりますね。
これには更衣(着替え)や入浴関連動作(洗髪や洗体,浴槽移乗),トイレ関連動作(ズボンなどの上げ下ろしや後始末等)だけでなく、歩行や認知面に関しても含まれる主に道具を使用しない行為のことになります。

<ADL障害の現状>
さて、このADLは実は維持(生活)期では、大きな問題とならないことが多いものです。なぜならば、在宅生活が困難な場合、回復期を経て、ADLがある程度安定した状態となり、ご家族様も状態を理解した上で退院される場合が多いからです。
それでも、アプローチしなければならない場合もいくつかあります。一つは、実際に在宅生活をおくってみたら思ったよりも大変だったという場合です。もう一つは、やや前向きなもので、回復期の期間中にのびしろの上限まで達せず、更なる回復が見込まれるものです。

<ADL障害の問題点>
いずれにせよ、日常生活動作が困難な場合、問題は身体的要因と認知的要因、その他に分けられます。
まず、身体的要因は片麻痺ですね?片方の手足のみで生活するということは想像以上に困難であり、麻痺の程度によっては手足が曲がった状態で維持され様々な動作の阻害因子となってしまいます。
認知的要因では、着衣失行と呼ばれる着替えの方法がわからなくなってしまう障害や半側空間無視などが問題となります。
最後に、適切な道具や方法が取得できていない場合もやはり介助量が増加してしまいます。

<ADL障害への対応>
まず前提として、障害自体の改善は一朝一夕には起こらず、それでも日々の生活は過ぎていくため、現状で可能な動作を徹底していくことに納得していただかなくてはなりません。
次に重要なのは、どんな動作なら可能なのか?という分析です。
現状で可能な動作、不可能な動作を分類します。不本意かもしれませんが、ここで一番重要なことは今現在できる能力の増加です。状態を見極め必要であれば道具を積極的に使用しましょう。例えば装具は使いたがらない人も多いですが、使用すれば普段から歩行できるのであれば、使ったほうが賢明です。
ただし、認知機能面の問題があった場合、問題は一段と複雑になります。認識できないというのは、うまく動かせないことよりも場合によっては難易度を上昇させてしまいます。これについてはご家族様にも十分に理解していただかないといけません。
分析・アプローチ・学習の繰り返し。その結果、適切な道具・適切な方法を反復学習していただくことで、徐々に介助量の減少を図って行くことが可能となるのです。

※もちろん、身体面・認知面に改善が認められればその時点でさらに上のレベルを検討することが可能となります。何事も焦らないことが重要です。
2016年5月10日(火)
当施設でのリハビリについて
これまでいろいろとリハビリに関して紹介してきました。では、当施設(クリニック・リハビリセンター含む)ではどのような取り組みを行っているのか、特に当施設の特徴である脳卒中後遺症のリハビリに関して説明していきます。
ただし、出来るだけ一般の方にもわかりやすく説明していきたいので、まずは目次からご覧ください。

目次

 @ADL障害
 A下肢機能障害
 B上肢機能障害
 C認知機能障害
 D言語機能障害
 E嚥下機能障害
 F廃用症候群
 G痙縮
 H疼痛
 Iその他

以上の項目に関して、問題点やポイント・対応/対策を紹介していきます。わかりにくい点や不満点などご質問・ご指摘・ご要望にも随時お答えしますので、何かございましたらご連絡ください。
2016年4月26日(火)
最近の研究
最近は私見の登校が多かったように思いますので、ここで最新の研究について触れてみたいと思います。

○四肢の回復の違いについて

これまでの研究では、脳卒中後の上肢・下肢の運動回復に類似したパターンがあると報告されています。

対象は虚血性脳卒中後の合計443の患者で、Fugl-Meyerのスケール・筋電図検査を入院中および退院後1ヶ月で評価しました。

すべてのグループが運動機能(P <0.001)に有意な改善を示しました。

前方循環系の梗塞を有する患者のグループ内で、下肢は、上肢よりも大きく改善された運動回復を示しました(P <0.001)。

有意差はサンプル全体での上肢の時間経過と下肢の運動回復の間や他のグループでは見られませんでした。

この研究では、全例の上・下肢で運動回復を確認できた。また、前方循環系梗塞患者では上肢よりも下肢で改善が認められた。


○脳卒中患者の上肢機能に対するVRゲームの効果
nintenndo wiiの上肢機能改善効果について検討した。

対象は発症6週以上の105名の脳卒中患者で、ランダムで@wiiグループ A通常リハビリグループ Bコントロールグループに分け3週間実施した。評価はFugl-Meyer assessment (FMA)やAction Research Arm Test, Functional Independence Measure及びStroke Impact Scaleを用いて3週後及びその後4週・8週で実施した。

そのいずれにおいても優位な差は認められなかった。



四肢の回復に関しては、当然歩行などで使用機会の多い下肢がより改善するものと思っていましたが、意外にも同様な改善が認められている様です。

また、最近良く見かけるwiiを使ったリハビリも方法によっては効果的ではないようです。ただし、傾向としては機械や技術を用いた遠隔リハビリは報告としては増えているように思いますし、今後発展していく分野ではないかと考えられます。

リハビリを提供する側としても負けていられませんね?!
2016年3月30日(水)
介護業界について
近年、介護離職について問題になっています。当施設でも検討すべき問題ではありますが、そこにある根本的な問題とは何なのでしょうか?

言うまでもなく、デイケア・デイサービス問わず、介護業界というものはサービス業です。さて、サービス業とはどんなものをさすのでしょうか?早速調べてみると、「日本標準産業分類の一。宿泊設備貸与業,広告業,修理業,興行業,医療保健業,宗教・教育・法務関係など,非物質的生産物(サービス)を生産するあらゆる業務。『三省堂 大辞林』」とあります。つまり、基本的に物質的なもの以外を生産する業務になるわけです。

介護に置き換えると、時間・空間などの満足度が、いわゆる商品にあたるわけです。この満足度は、短期的には残念ながら可視化/数値化をすることが困難なものです。特に日本的な価値観では、気に入らないことがあってもその場でそれを伝えることも困難な場合が多いのではないでしょうか?

これは、一職員の評価にもつながるものです。ここでの評価は上司から部下に対する職務評価だけの話ではなく、職員一人一人の自己評価も含みます。
目に見えない満足度を指標に、主にそれぞれの主観を頼りに仕事に当たり、それぞれの主観によって評価をくだす。さらに時に3Kも伴う業務のわりに賃金面でも一般平均を下回る。これでは、不満が出てくるのもうなずけます。

もちろん、「介護に携わるのが生きがい」という方もいらっしゃいます。このように仕事自体が好きなのであれば問題はないのですが、現状ではそうばかりではなく、、、
つまりモチベーションが上げ辛いというのが一つの要因となっているのではないでしょうか?


また、もう一つの要因は障害に対する理解不足も挙げられるかもしれません。当施設では脳血管疾患の方が大半を占めていますが、その場合、片麻痺などの身体機能以外にも高次脳機能障害をお持ちの方も多くおられます。この高次脳機能障害、名前は少しずつ知られてきておりますが、その詳細については専門職でない限り、ご存知の方は少ないのではないでしょうか?


身体機能障害に対して、直接目で見ることの出来ない認知機能障害は対応する側にも理解を困難にしてしまいがちです。これが認知症の方ではさらに顕著なのではないでしょうか?
人は悲しいかな理解できないものに関しては受容が困難です。それが時に拒否や攻撃的姿勢にもつながってしまう場合があります。

逆に、利用者様の状態が十分に出来たらどうでしょうか?もしかすると受容が可能となり、より良いサービスが可能となるかもしれません。

確かに、介護業界は人手不足で逼迫しています。ですが、だからといって安易に受け皿としたことが現状を生み出した根本にあるのかもしれません。


私個人としては、十分な教育を受けたスペシャリストが多く現れ、むしろ憧れの仕事になってくれれば、長期的に見てよい方向に行くのではないかと思っています。
2016年2月22日(月)
ライフスタイルの再構成
リハビリを実施するにあたって見落としてはならないことは、『ライフスタイルの再構成』についていかに考慮するかではないでしょうか?

私たちセラピストはともすれば機能障害もしくは能力障害、時に社会参加に偏ってしまう場合があります。もちろんある程度時間制限があることは現行制度上致し方ない部分もあります。

一方で障害は、時に一瞬にして身体面・認知面ともに機能的変化を生じさせます。そこに準備期間などなく、新たな環境での生活を余儀なくされます。このため、これまで行っていた生活や楽しみが思うように行うことが出来ず、苦しまれているのではないでしょうか?

そこで重要になってくるのが上述のライフスタイルの再構成なのです。

ただしこれは本人だけでなく、関係する全ての方々の協力なくしてはなりえないものです。

本人の希望を聞き入れ、現状可能な機能・能力・環境をフル活用してよりよい生活に結び付けていきましょう。

当施設を利用されている方の中にも、重度の障害でも旅行などを楽しまれる方もいれば、軽度の障害でも家に引きこもり悩んでいる方もいらっしゃいます。

出来るだけ全ての方に生活を楽しんでいただくためにも努力を惜しんではいけませんね?
2016年1月18日(月)
「リハビリテーションは脳の配線を変え、機能の回復を導く」
先日、ニュースでも紹介されましたが、生理学研究所と名古屋市立大学の研究チームが上記のような研究を発表したようです。

概要は以下のとおりです。
第一に、脳出血を生じさせたラットに対し麻痺側の集中的な使用を促すことで運動野における手の領域が拡大し、運動機能が改善された。
第二に、運動野と脳幹の赤核との間に線維連絡が増加した。
第三に、運動野ー赤核間の神経回路の機能を遮断することで運動機能の悪化が認められたことより、機能回復との因果関係が認められた。

今回の重要なポイントはやはり脳の可塑性が存在することが再び示唆されたということです。さらに、その変化は、麻痺側の集中的使用によってもたらされたということです!

未だに、退院時に「麻痺の改善は諦めてくださいね」と説明されることが多いのが事実なようで、、、もちろん麻痺が消えてなくなるということは現代医学ではありません。ですが、リハビリによって少なからず変化はもたらされるものであり、むしろリハビリを中断してしまうと廃用症候群などの悪影響が出ることを説明されることが少ないと聞きます。

常日頃から「脳は変化する!」と主張し、主治医の意見とは違うと一蹴されてきた私たちとしてはうれしい援護射撃に感じられたのでした。

リハビリの効果はなかなか実感しにくいものが多いのですが、今回のような報告が増えれば安心してリハビリに取り組んでいくことが出来ますね?
2015年12月3日(木)
言語リハについて
今回は言語についての話です。
以前も紹介させていただいたかと思いますが、言語聴覚訓練に関しては、現状高いエビデンスが示されております。また、系統的な評価に基づいたリハビリも当然のことながら勧められております。

これは持論ではありますが、脳卒中後のリハビリは時間・回数を含め「量」であるとこれまでも伝えてきております。基本的には運動学習などの最適化を繰り返すなかで脳の再構成が促されると考えるからです。

少し話がそれましたが、言語に関しても同様に、訓練強度(費やす時間)が回復と関連しているという研究結果もあります。発症からの期間は短いものでも長いものでも効果が出ているものがあり、逆に言えばいつ始めても遅いものではないのではないかと考えております。

一方で、訓練を提供する側については、現状では言語聴覚士の有無が問題なのではなく、特別な教育を受けたボランティアでも効果があるのではないかという意見もあるようです。

では、なぜ言語聴覚士がいないと言語リハは出来ない!と考える人が多いのでしょうか?
もしかすると、そこにはセラピスト間に『領域(聖域?)』のようなものがあるのかもしれません。少なくとも、私の記憶の中では、PT・OTが言語も対応できると言って驚かなかった同業者は見たことがありません。(少なくとも、当施設で経験を経たセラピストはそれらの技能は備わっていると考えているのですが・・・。)
ともかく、考え方を転換すれば、教育を受ければセラピストに限らず誰でもリハビリすることが出来るのであれば、失語症患者様にとってこれほどすばらしいことはないのではないでしょうか?

一番重要なことは、言語面で困難なことがある方でも、楽しくコミュニケーションを行うことが出来る環境があるということです。それは能力面の改善であり、QOLの向上にもつながっていますし、機能障害の改善の可能性にも行き着く話なのです。

めんどくさがらずに、その人に寄り添えば、道は見えてくるかもしれませんね?
2015年10月1日(木)
歩行について
今回は歩行訓練についての話です。

よく、「歩くのが上手になりたい、もっと早く歩かせてほしい」という希望を聞くことがあります。
事実、退院後も歩行機能が向上し、最初は4点杖歩行であったものが杖なし歩行まで移行される方もいらっしゃいます。一方で、逆に歩行可能であった方が車椅子を余儀なくされることもあります。

脳卒中の予後予測の一つ、二木の予測の中では『予後予測基準の第一のポイントは入院時の自立度 入院一ヵ月後までにベッド上生活自立すれば最終的に歩行可能。対して、入院二ヵ月後までにベッド上生活自立すれば7割が歩行可能だがほとんどが屋内歩行にとどまる。』と言われており、また『歩行能力は6ヶ月がプラトー。平行棒内歩行は監視介助歩行にも入らない。平行棒内歩行にとどまると歩行獲得困難。』とも言われております。

では、なぜ自宅復帰後(≒6ヶ月以降)にもこういった変化が起こっているのでしょうか?

歩行機能が悪化する場合については理解しやすいものがあります。理由の一つは『廃用症候群』です。せっかく歩行可能な能力をもっていても普段から歩行しておらず寝たきりのような生活をしていては悪化してしまうのも仕方がありません。また、変形性膝関節症などの整形外科疾患を伴った場合も悪化する場合があります。それだけではなく、その他の悪性腫瘍や肺炎などにより、安静を強いられる状況になった場合、悪化してしまう場合があるのです。

では、改善する場合というのはどのような場合でしょうか?

一旦話が変わりますが、昔、恩師より「Br.stage3以上は歩行してしかるべき」との言葉をいただいたことがあります。それは私のつたない経験上でも納得のいくものであり、一つの指針となっているものです。このBr.stageは麻痺の程度を表すものですが、これも6ヶ月程度をプラトーとするといわれており、二木の予後予測ともシンクロするものではないでしょうか?

話はそれましたが、本来歩行に関しては、重度の認知障害や併存疾患がない限り、麻痺の程度などで最終的な歩行状態(ゴール)のようなものがあるのではないかと考えております。退院時にそのゴールにたどり着いておらず、且つその後のリハビリが適切であった場合、6ヶ月以降にも歩行レベルに改善が見られるものだと考えております。

ただし、歩行速度や歩容(歩き方)に関してはその限りではなく、各種文献でも紹介されていることではございますが、歩行量を増加させることでレベルアップが果たせるとしたものや、普段の歩行をペースアップさせることで歩行速度の改善が見込まれるとする報告もあります。


長くなりましたが、結論としては以下のとおりです。
@歩行のレベルに関しては自身の麻痺のレベルによります、現状の持てる能力を最大限に活かしましょう。
A現在歩行が出来る方は、歩行量を十分に確保することをお勧めします、廃用を予防しましょう。

そろそろ、”してもらうリハビリ”から『するリハビリ』に変わりませんか?
2015年8月22日(土)
エビデンスのあるリハビリテーションA
今回は前回紹介し切れなかった部分について紹介してまいります。

●痙縮

(グレードA)
痙縮の改善には各種薬剤の使用やボツリヌス療法が勧められる
(グレードB)
顕著な痙縮には侵襲性が高いもののバクロフェン髄注も効果が認められている。
フェノールやエチルアルコールを用いたmotor point blockも効果的である。
高頻度のTENSも年単位での継続効果はないが週単位では痙性抑制効果を認める。
持続伸張・連続的関節他動運動・スプリント療法も同様に効果が認められる。

●言語障害
(グレードA)
早期であれ慢性期であれ、専門家であろうとなかろうと、グループでも個別でも、いずれにせよ回復には訓練時間が相関しており、どのような方法であろうと言語聴覚訓練を実施することは強く勧められる。
(グレードB)
失語症に対しては、SLTAやWABのような系統的評価が重要である。グループ療法やコンピュータを使用した方法も勧められる。薬物療法の有効性も報告されているものの保険適用外である。

●認知障害
(グレードB)
脳卒中後には各種高次脳機能障害の有無や内容・程度を評価し、家族への説明を行うことは家族負担の軽減につながる。
機能面に対する訓練と代償動作を学習する訓練があるが、いずれにせよADLの改善目的であるべきである。
訓練内容は様々なものが提案されているが、それらを組み合わせることを考慮しても良い。

●体力低下
(グレードA)
有酸素運動は各種体力改善効果が認められるため、強く勧められる。
麻痺側下肢筋力トレーニングは下肢筋力を増加させる。
(グレードB)
運動負荷としては、トレッドミル・エルゴメータ・反復運動が勧められる。また、下肢筋力訓練は身体機能を改善させる。

特に目新しい情報はないかと思われますが、痙縮に関しても電気刺激が追加されておりますね。言語障害に関しては慢性期でも効果が認められた影響か、「早期から」という文言がなくなっています。認知障害・体力低下に関しては6年経過しても特に変化はないようでした。
今後もさらに技術が発展すればより効果的なリハビリが可能になる時代が来るのかもしれません。その時に、何の迷いもなく正しい方法が選べるよう、柔軟性を保っておきたいものです。
2015年8月11日(火)
エビデンスのあるリハビリテーション
引き続き根拠のあるリハビリのために情報を紹介いたします。著作権などの問題もあるかと思われますので、一部のみ(グレードB以上)を抜粋して紹介しますので、詳しくはご購入の上ご確認ください。

●運動障害・ADL

(グレードA)脳卒中後遺症に対しては早期より積極的なリハビリテーションを行うことが勧められる。
(グレードB)下肢機能・ADLについては主義に拘らず課題反復訓練を行うことが勧められる。

●歩行障害
(グレードA)訓練量の増加は効果的である。
(グレードB)内反尖足には短下肢装具を使用し、痙縮が強い場合にはボツリヌス療法ないしフェノールブロックも勧められる。バイオフィードバック・FESも効果持続時間は限られるが歩行効率改善のためには勧められる。トレッドミル・歩行補助ロボットなどの外部補助も効果的である。

●上肢機能障害
(グレードA)麻痺が軽度で適応を選べば、非麻痺側を拘束した状態での麻痺側の強制使用は有効である。
(グレードB)中等度の麻痺には電気刺激や特定の動作を反復して訓練することが進められる

●嚥下障害
(グレードA)スクリーニング検査に加え、可能であればVF・VE検査などによる精査を実施し、適切な栄養摂取経路・食形態の検討を多職種が連携して行う
(グレードB)経口摂取困難な場合、急性期より経管栄養が勧められ、発症後1ヶ月以上経口に移れない場合は胃瘻での管理が進められる。各種間接訓練(メンデルゾーン手技など)は食事量改善などの効果を認める

以上のように、身体機能障害面に関して簡単にまとめさせていただきましたが、全体の印象としては旧来のリハビリ方法よりもやはり設定や条件の整えやすく定量化しやすい電気刺激などの記述が増加しているようです。確かに人によって効果が大きく異なる治療では、根拠に乏しいというのも理解できるところですね。
2015年7月6日(月)
最新のエビデンス(理学療法)
前回は機能評価のエビデンスについて紹介いたしました。今回はアプローチ方法、といっても今回参照しているのは理学療法学という文献ですので、理学療法の推奨グレードについて紹介いたします。

@早期リハビリテーション(グレードA)
言うまでもないことですが、早期より抑制よりもむしろ集中的に上肢/下肢の運動および電気刺激を行うことが勧められております。

A姿勢と歩行に関する理学療法(グレードA)
出来る限り下肢の運動を行うことが勧められており、必要であれば装具を用いて積極的に歩行することが勧められております。エルゴメータなどについても推奨されています。 

B電気刺激療法およびその他の物理療法(グレードB)
TENS・TES・FESが高評価ですが、効果が即時的であり持続性については難点もあるようです。

C持続的筋伸張運動(グレードB)
治療後多少の効果は認められるものの長期間の効果については今のところ認められていないようです。

D運動障害に対する理学療法(グレードB)
CI療法や促通反復療法の効果が認められてきているようです。その他の治療については発言を控えます。

E半側空間無視・注意障害・遂行機能障害に対する理学療法(グレードB)
半側空間無視についてはプリズムが勧められていましたが、その程度でした。

F肩関節障害に対する理学療法(グレードB)
電気治療が有効であるという報告もあるようですが、その程度です。

G体力低下に対する理学療法(グレードA)
脳卒中に限った話ではなく、有酸素運動が勧められております。

H在宅理学療法(グレードB)
慢性期でも効果を挙げている場合もあり、発症からの期間は関係ないとのことです。


私が理解できる範囲でまとめると、少なくとも現状では手技の有効性は認められていないため、主義・主張にとらわれず電気刺激療法を活用し、早期から安静ではなく(病状が安定しない場合を除く)積極的に上肢・下肢の運動することは回復を助けるということではないでしょうか?
2015年7月2日(木)
最新のエビデンス(評価)
日頃、当施設ではエビデンスに基づくリハビリを推奨しております。この度、脳卒中ガイドラインが改訂され2015年版が発売されるとのことで、早速注文をしたのですが、まだまだ届かない様子なので、他の資料から紹介いたします。

ちなみに、これまでは本編の抜粋も行っていましたが、《「脳卒中治療ガイドライン2015」の内容を営利目的で二次利用する場合は、転載許諾申請が必要です(有償)。下記にて申請をお願いします。なお、学術目的、報道等で二次利用する場合の申請は不要ですが、必ず出典を明記して下さい。》とのことですので、別段営利目的で紹介するわけではありませんが、怖いので一部紹介とさせていただきます。なお、もし問題があるようでしたらすぐに削除しますのでお電話していただければ幸いです。


さて、本題に戻りましょう。今回紹介するのは理学療法学という文献から紹介いたします。では、そこで評価面で推奨されているものを列挙していきます。

@総合的評価
グレードA;NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)、FMA(Fugle-Mayer motor assesment)、SIAS(Stroke Impairment Assesment Set)

A運動機能評価
グレードA;MAS(Motor Assesment Acale)、MSS(Motor Status Scale)、Chedoke-McMaster脳卒中評価
グレードB;Brunnstrom stage

B筋力評価
グレードB;ハンドヘルドダイナモメーター、Motricity Index

C筋緊張
グレードB;筋電図評価

D歩行評価
グレードA;エモリー機能的歩行評価、timed up&go test、10m歩行テスト

E姿勢・バランス評価
グレードA;脳卒中姿勢評価スケール、scale for contraversive pussing、Berg balance scale、機能的リーチテスト、

F半側空間無視・注意障害・遂行機能障害評価
グレードA;線分二等分テスト、アルバート線分抹消テスト、文字抹消テスト、BIT(behavioural inattention test)、BADS(Behavioural assesment of the dysexecutive dysfunction syndrome)

G疼痛・うつ評価
グレードA;VAS(visual analog svale)、SF‐36日本語版、うつ自己評価スケール

HADL評価
グレードA;改訂版ランキン・スケール、バーセルインデックス、FIM(functional independence measure)

全てを紹介したわけではありませんが、以上のような結果となっております。今回紹介したのは評価方法ですので、一般的に普及しているものはやはり評価の高いものとなっていますね?次回は治療方法についてふれていきたいと思います。
2015年6月12日(金)
デフォルトモードネットワークについて
脳卒中後のリハビリには、脳を活性化させることで再マッピングし、回路の再構成を行うことが重要だと伝えてきました。では、安静時の脳の働きはどうなのでしょうか?そんな研究が近年されてきております。

f-MRI等の非侵襲的脳機能研究により、近年高次脳のニューロイメージング研究は急速に進んでいます。一般に、脳は課題負荷があるときには,安静時に比較して活性化すると考えがはないでしょうか?このような予測に反して、何もしていないはずの安静時にも活動が高まる領域があるという報告が認められるようになっています。

安静時に特に活動が高まる領域は,内側前頭前野や後部帯状皮質といわれる部分を含む広範囲に及ぶそうです。この活動は、安静時にみられるので基本的な脳活動且つ、比較的共通したパターンを示すことから、基本的ネットワーク(デフォルトモードネットワーク(DMN))と呼ばれています(e.g., Buckneret al., 2008; Raichle et al., 2001)。
DMNは安静時に活動上昇を示します。一方で、認知課題を遂行しているときに課題に関連した領域は活動を高めるのに対して、デフォルトモードネットワークは活動の低下を示すことが多いそうです。

例外はあるものの、ワーキングメモリ課題を遂行している時には、ワーキングメモリの遂行にかかわる領域の活動は増加するが、デフォルトモードネットワークは活動の低下を示すこと多いそうです。これは、脳内の処理資源は限られているためだと考えられています。
こういった特徴から、このDMNは情報を内部処理するために重要な働きをしているのではないかといわれているようです。

最近の研究では、高次脳機能だけではなく嚥下に関しても、その関与が考えられているようです。

そう考えると、随意的ではない無意識のコントロールを行うことも機能に含まれるのかもしれません。

まだまだ研究が進む分野だと考えられますので、数年後には『脳のリハビリ後には必ず安静時間をもつ』というのがスタンダードになるのかもしれませんね?
2015年5月18日(月)
ボトックスについて
最近周辺の病院でもボトックスを実施できる病院が増えてきているようです。当施設を利用されている方の中にも実施されている方はいらっしゃいます。しかしながら、医療従事者から「手がかたいので治療しましょう」と言われたのでやっただけであり、十分な理解が出来ている方は実は少ないようです。

これには病院側の事前説明の問題もあるとは考えられますが、下記にエビデンス情報を掲載しておきますので、一読されてはいかがでしょうか?

1. 脳卒中後の上肢において,ボツリヌス毒素は単独使用あるいは治療を組み合わせることで有意に痙性を軽減するという強い根拠がある(Level 1a).しかしながら,長期効果や機能レベルの改善およびQOLの向上との関連については明確でない.
2. 肩甲下筋へのボツリヌス毒素の注入が痙性による肩関節痛の軽減または他動的ROM制限を改善させるという根拠ははっきり示されてはいない(Level 4).
3. ステロイド関節内注射は,片麻痺の肩関節における他動的ROMの改善と疼痛軽減に効果がないとする中等度の根拠がある(Level 1b).
4. ボツリヌス毒素による筋の除神経は下肢の痙性は軽減させるという強い根拠がある(Level 1a).しかしながら,除神経が機能を改善させるというはっきりした根拠はない(Level 4).
5. ボツリヌス毒素と電気刺激を併用すると上・下肢ともに痙性は軽減させることができるという強い根拠がある(Level 1a).しかしながら,筋緊張の軽減が機能的なアウトカムを改善させるというはっきりした根拠はない(Level 4).

・・・お分かりいただけたでしょうか?簡単に説明してしまえば、ボツリヌス毒素では痙性の抑制効果は認められるものの、機能面を直接改善をもたらすものとは言えない、といったところでしょうか?

大切なことは、機能改善を目標とするのならば、一度の治療のみで効果が出ると考えず、フォローアップを含め地道に治療を積み重ねていくことでしょう。

まさに『継続は力なり』ですね?
2015年4月6日(月)
肩の亜脱臼について
脳卒中後の問題として、有名なものに肩の亜脱臼の問題があります。これはしばしば方の疼痛との関連性も指摘されているものです。ではこの亜脱臼とはどのようにして発生するものなのでしょうか?

Evidence Based Review of Stroke Rehabilitation 日本語版では以下のように書かれています。

「肩関節亜脱臼とは,肩峰と上腕骨頭の間が触診可能な隙間がある肩甲上腕関節の機械的完全性の変化と定義されている.臨床研究において亜脱臼の評価で最も信頼性のある臨床的な評価方法がキャリパー(測径器)である(Boyd 1992).肩甲上腕関節は多軸性で,身体の他のどの関節よりも上回る可動域を持っている.肩甲上腕関節のその可動性を達成するためには,固定性を犠牲にしなければならない.固定性は肩の動きと同時に,rotator cuff という,関節窩に上腕骨頭を保持するための筋腱板によって達成されている.脳卒中を発症し始めた時の麻痺肢は弛緩性または低緊張である.そのため肩の筋群,特に回旋筋腱板は関節窩に上腕骨頭を保持する機能が出来なくなり,それが亜脱臼の高いリスクとなる.肩の亜脱臼は片麻痺患者でよく起こる問題点である.弛緩した麻痺肢の初期では,麻痺側上肢は適切に保持されなければならず,でなければ腕の重みに亜脱臼が生じる.ベッドでの不適切なポジショニング,高重力肢位での支持不足やトランスファー時の麻痺肢の牽引など全てが亜脱臼の原因である.下方や外側への亜脱臼は一般に,抵抗が少ししかない低緊張の筋に逆らった長期の下方向きの牽引によって二次的に生じるとされている(Chaco and Wolf 1971).機械的影響の結果は肩甲上腕関節の関節包(特に上面),弛緩した棘上筋や三角筋のオーバーストレッチングである.(Basmajian and Bazant1959,Shahani et al.1981)(Figure11.1).」

簡単に説明すると、亜脱臼とは肩関節に隙間の出来た状態です。もともと、肩関節は高い可動性を確保するために、他の関節のような固定性は犠牲にしています。他の関節が靭帯などでしっかり固定されていることが多いのに対して、肩関節は筋肉によって固定されています。しかし、脳卒中により弛緩性の麻痺を呈した場合、さらに固定力は低下し、元の位置に保持することが出来なくなってしまう為、亜脱臼が起こりやすくなってしまいます。ここに重力やその他の要因で持続的に引っ張り続ける状態が続くことで亜脱臼は悪化してしまうのです。

この悪化を防ぐという意味では旧来からの方法として三角巾などの使用が行われることがあります。ただし、これは悪化を防ぐだけの効果であり、積極的な治療とはいえないかもしれませんね?

例え麻痺をしていたとしても、筋力増強が図れる方法があればもしかしたらこの亜脱臼を治療することが可能かもしれません。このページをご覧になられている方なら思い当たる節があるかもしれませんね?どんどんアプローチしていきましょう!
2015年2月6日(金)
誤嚥予防
早速ですが、誤嚥という言葉をご存知でしょうか?では、不顕性誤嚥はどうでしょう?話は変わってクエン酸って聞いたことありませんか?今回はそれらに関係する話です。

不顕性誤嚥とは、咳や外部の徴候がない声帯以下への食物の侵入です。睡眠中など、本人の自覚なく気管に異物(唾液など)が浸入するもので、結果的には誤嚥と変わりないものですので、肺炎の原因ともなるものです。

また、嚥下障害の発症率は,急性期の脳卒中後に1/3-2/3 の割合で、非常に高い確率で現れるといわれております。そのうちの多くは、肺炎やむせ等の臨床症状現れないため、次第に常食へ移行していきます。

唯一つの問題は、今後起こるリスクについては判定しづらいことです。

もちろん、VEやVFなどの精密な検査をすれば、判定は可能ですが、その分負担を強いてしまうことになります。

そこで、比較的侵襲度の低いネブライザーを用いた簡易な咳テストがで報告されております。
今回の不顕性誤嚥では、特に咽頭の感覚低下によるむせのないものでリスクが高くなります。つまり、この感覚の評価が可能であれば、肺炎のリスクを予防することが出来るものと考えられます。

比較的簡易で侵襲度の少ない嚥下検査手法である咳テスト、改訂水飲みテスト(MWST)、簡易嚥下誘発試験(SSPT)の3検査について、有用性の比較を試みたところ、以下のような結果が出たようです。

1)咳テストは、原法では1分間に咳が4回以下だと不顕性誤嚥ありと判定するが、今回、3回以下で不顕性誤嚥ありとする改変法についても評価した。結果は、原法では感度100%、特異度33%だったが、改変法では感度83%、特異度67%と改善し、簡易でありながら十分な精度がある検査法であることが示唆された。

2)MWSTは不顕性誤嚥が存在する場合、検出力が悪く、対象者によっては不向きだった。

3)SSPTは、反射惹起遅延の有無で不顕性か否かを判定できる可能性は示唆されたものの、検査の不快さから実施困難な症例が多かった。

以上の結果から考えるに、咳テストは不顕性誤嚥の検出に有効であると考えられます。また、その性質上咽頭部の感覚面の評価が出来るという点でも有用性が高いものであると考えております。

例えば、当施設で経過を追っている方では、治療を継続することでこの反応に改善を認めた方もいらっしゃいます。一人でも多くの方で誤嚥のリスクを予防することが出来れば、肺炎などで苦しむ方も減ってくれるはずです。そのために出来る限り効果のあるアプローチを実施していきましょう!
2015年1月5日(月)
あけましておめでとうございます
あけましておめでとうございます。

今年も遅筆ではありますがリハビリについて出来る限り紹介させていただきたいと考えております。

お正月の間、長嶋さんのリハビリについて放送された結果、皆さんのやる気はいつも以上のようでした。さすが長嶋さん、影響力はすさまじいものです!

では、長嶋さんのやっていたリハビリとはどういうものだったのでしょうか?フルタイムみていたわけではないので、確認できたものだけですが、説明してみます。(長嶋さんの状態については、映像上で把握できることもありますが、憶測でものを語るのも失礼ですので省きます。)

まず、エアスプリントを使用しているようですね。これは、関節周囲にほぼ均等に空気圧をかけることで持続的伸張を図るものです。長嶋さんの場合、このエアスプリントの若干のたわみを利用して腕立て伏せもやっているようです。

あとは、電気刺激装置も使用していましたね。電極パッドの形状から見るに、低周波刺激でしょうか?これはTESというもので、皮膚上から筋に電気刺激を行い、半強制的に動作を発生させるものです。映像では伸筋の自動運動も促しているようですね。

上肢へのアプローチはその他にもリーチング(当施設では雑巾がけといったりします)なども取り組まれているようです。

何よりも伸張訓練と筋力強化に時間を割きつつ、脳の可塑性へもアプローチを行うというのは素晴らしいことですね!

出来ることなら、こういったリハビリがどこでも出来る世の中になると良いですね?
2014年11月10日(月)
エビデンスとは・・・
今日はエビデンスについて考えていきたいと思います。

ここで言うエビデンスとは、根拠のことを指します。つまり、EBM(evidence baced medicine)とは「根拠に基づいた医療」ということになります。

一般的にお薬や手術におけるEBMはとても重要視されてきました。一方リハビリの世界でもEBMは重要なこととはされてきたものの、歴史自体が浅いことに加え、アプローチの結果がすぐに現れるものではないことが多いということ、基本的にアプローチの結果として悪化したという事が判り辛いということといった、様々な要因によってあまり話題に上がることはなかったように思います。

また、リハビリのメインの役割が病院(私たちがメインでリハビリを行っている脳卒中で言うと、急性期・回復期という入院期間中だけのもの)と考えられてきたことも一因であると考えられます。一時的なかかわりの中では、自然経過に伴う回復なのかリハビリによる回復なのかは判別困難であり、また臥床などによる廃用症候群は致し方ないものであると考えられてきたからではないでしょうか?

現在、リハビリにおける様々治療法について、データが報告されております。その中で、確実にお勧めされている手法もあれば、逆に効果がないことが報告されている手法もあり、もちろん未だ賛否両論な方法もあります。

大事なことは、効果があるといわれることは出来る限り行い、効果がないと言われるものは出来る限り避けること、賛否両論なものに関しては考え方が分かれるものと考えられますが、私個人の考え方としては、可能性があるのであれば選択肢の一つであると考えています(当然その後の研究で効果がないと判れば行うべきではありませんが・・・)。

そして、これらの考え方は今やリハビリを提供する側のみが知っていれば良いことではないと思います。現在自分が行っているリハビリの”意味””効果”をしっかりと理解したうえで、実施していくことが重要ですね?
2014年10月6日(月)
どれくらいでよくなる?
脳卒中のリハビリには時間がかかる、という話はこれまでも幾度となくさせていただいております。

よくある質問のひとつとして、「どのくらいでよくなりますか?」という質問を受ける場合があります。

これはとても答えづらい質問です。なぜならば、まず第一に、各人で病巣が異なりますし、したがって、現れる後遺症・障害も様々です。外見だけ見れば同程度と見えたとしても、実際に全く同じ経過をたどるとは断言できず、他の方との比較が困難なのです。

また、来所までの経過も種々様々であることも予測を困難にします。
急性期はどのくらいの時間で搬送され、どのような治療をしたのか?その際の経過は?回復期でのリハビリは何を実施したのか?現在の自立度は?その他に、問題となる所見は無いのか?そもそも、廃用症候群は存在するのか?・・・・・などなど、あげればきりがありません。

さらには、リハビリへの取り組み方も、人によって全く異なります。皆さん回復を目的に来所されるわけですが、実際に自分で行うとなると別問題です。万人が同等の努力を行うことは困難であるということが現実にはあります。

ここからはわかりやすいようにあえて極端な話にしてみます。リハビリを勉強に置き換えてみましょう。たとえば、の話です。
 目標;回復⇒合格
 方法;リハビリ⇒勉強
こう考えた場合、皆さん最高レベルの大学への進学を当初の目標に置かれるかと思います。まず小学校(急性期)で基礎を学びベースを作り、中学校(回復期)で最低限のことは出来るようになります。高校(生活期)に入り、応用的な分野の習得や得意分野・苦手分野の発見を経て、受験という結果に至るわけです。
その結果に満足する人もいれば、もちろん、その結果に満足しない場合は再び勉強をやり直すこともあるでしょう。本人が納得できるのであれば、時には小学校や中学校の段階で終了する場合もあるかもしれません。
納得するまで、取り組むことは素晴らしいことです!ただし、勉強(リハビリ)だけが人生ではありません。楽しみながら取り組んでください。

少々脱線しましたが、『良くなる』の判断基準も人によって様々です。現状で満足されていればそれも良いでしょうし、どこまでいっても満足されない方もいるでしょう。

ただ、当施設でリハビリされている方では、5〜6年経過してもなお、改善を続ける方もいらっしゃるということも事実です。もしかすると、数ヶ月〜1年という期間では効果が出づらくとも、さらに期間を延長することで、改善が見込めるのかもしれませんね?
2014年7月28日(月)
最新のリハビリ研究について
さて、最近更新が少なくなっていることもありますので、ここらで最新のリハビリ情報に触れておくこととします。

片麻痺の方の場合、両手の協調性を向上させるには次のいずれの方法が望ましいでしょうか?

@両手動作
A片手動作
B特別なことは何もしない

少し考えてみてください。ちなみにこの研究を行なった方は、@の両手動作が最も効果を発揮するのではないか?と考えて研究を実施したそうです。

方法としては、60名の片麻痺の方を、両手動作(Bilateral Arm Training with Rhythmic Auditory Cueing;音にあわせての両上肢訓練)と片手動作(modified Constraint-Induced movement Therapy;CI療法)と特別なことは何もしないという3グループにわけてアプローチを実施します。6週間のアプローチ後に協調性を検証しました。


それでは結果です。・・・・・この中で最も成績の良かったものは?!


なし。残念ながら有意な差を持って改善したと言い切れるものは認められませんでした。研究ではよくこういう事が起こります。始めからうまくいくことが決まっているものは研究対象になりにくいですしね。

ただし、前向きな結果も出ていました。まず第一に、成績自体は両手動作が最も優秀だったということです。また、両手動作においては動作の質にも向上を認めたとのことです。

以上のことから、脳卒中後の片麻痺に対して両上肢での訓練を実施していくことは有効である可能性があると考えられるわけです。両手動作は単調になることが多いのですが、諦めずにチャレンジしてみてはどうでしょうか?
2014年6月21日(土)
リハビリを取り巻く制度について(最新)
先日国会にて、介護保険や医療提供体制を見直す地域医療・介護総合確保推進法が可決されました。

これがどういう内容かといいますと、まずは要支援の方への対応ですが、通所介護及び訪問介護が予防給付から外れることになります。また、特別養護老人ホーム、いわゆる特養ですが、入所対象者は原則要介護3以上となります。施設側の変更としては、通所介護施設の再編が行なわれることが考えられます。加えて、一部高所得者は利用者負担が1割から2割へと増加することが決定したようです。

大きな変化点としては、以上の点でしょう。

個別に関しては、要支援の方の通所介護及び訪問介護が予防給付から外れるということは、一切のサービスが受けれなくなるということではなく、それらの役割を地域支援事業に移行するということになります。地域支援事業ですのでその内容は市区町村に任せられるとのことですが、以前から話のあったボランティアやサロンのような形がとられるのかもしれません。いずれにせよ、通所介護や訪問介護事業所は現状の利用者への説明及びその後の移行を含む早め早めの対応が望まれます。

特別養護老人ホームに関しては重度の方のみを対象とすることで、本当に必要な方の為の空き状況を作ることが目的であると考えられます。比較的軽度であれば在宅での生活を基盤にすることを推し進めている点から考えると当然の流れにも思えます。一方で家族の介護に対する意識やレベルは一定のものではないので、そこに対するフォローは忘れてはならない問題ではないでしょうか?もちろん、この介護3をクリアする為だけに過剰な申告をされる方も出てくることが考えられる為、不正防止の手立ても考えていくべきでしょう。

通所介護の再編についてですが、通所介護施設が急増した中で、その管理と整理をする意味合いを含め、小規模の施設は地域密着型へ移行するのでしょう。

最後の利用者負担増に関しては、近年、介護保険を利用する方が増えたことに伴い、財源確保の問題が出てきました。これは制度である以上避けられない問題ではあるのですが、維持費はどこかで確保しなければなりません。そこで、被保険者の上位20%にあたるものとする、年金収入280万円以上の方を対象に従来の1割負担から2割負担へと変更する見込みです。実際問題、介護保険の維持が目的の制度変革である為、施設としては何のプラス要因はなく、一方利用者側から見れば単純な負担増となっており、以上の要因より、負担は増えてもサービスは据え置きのままとなることが予測される為、基本的には利用を控える結果になることでしょう。当施設では日々のリハビリによって改善を図っておりますので、利用回数の減少によってADLの低下をきたす場合もあるのではないかと危惧しております。結果として介護度の上昇などにつながらないことを祈るばかりです。

いずれの改定にせよ、運営方法によってはあまり望ましくない状態になりかねないことをよくよく頭に入れて望む必要があると考えています。
2014年6月2日(月)
リハビリを取り巻く制度について
介護保険を用いたリハビリの課題については賛否様々だと考えられます。しかし、制度は制度ですので、これを無視しては施設自体の運営は不可能です。

当施設の理念の一つに「順応同化の精神」というものがあります。どんな環境であろうとその中で最善を尽くし、利用者様の回復という一つの目的のために邁進していくことが重要という考え方です。この考え方をもってリハビリを進める限り、方針はぶれないものと確信しております。

ただし、現時点では方針は出ているものの、この政府の方針も決定ではまだないようです。様々な意見を発信していくことも重要ですね?

さて、話は戻って制度改革についてですが、どうやら介護保険の改定で「ある程度以上の所得の方は2割負担」という話が出てきているようです。現在が1割負担ですので、実質“倍”の負担になるということです。

これは大きな問題だと思います。現在介護保険において例えば要介護1の方の場合、限度額は16,580単位となっておりますので、全額使用した場合、今までが16,580円だったものが、33,160円の自己負担となってしまうわけです。

こうなると、利用者の側から見ると、1月の利用回数を抑えたいと考えるようになるかもしれません。一方で、これは利用者の負担額の増加だけの問題ですので、施設側の収入は増えません。つまり、利用回数が減少するということは、単純に施設側の収入の減少を示します。もしかすると、多くの施設で危機的な状況が訪れてしまうかもしれません。

これを避けるためには、各施設が特色を前面に打ち出して、専門性をアピールし、より満足感の高い施設を作り出していくしか方法がないのかもしれませんね?
2014年5月23日(金)
リハビリを取り巻く制度について
今日は、少しリハビリの内容から少し外れて、リハビリをめぐる制度について紹介していきたいと思います。

まず、医療保険についてです。現状では、回復期リハビリテーション病院を退院した後も、一月につき13単位(1単位20分)の制限を設けて医療保険でのリハビリを継続することが可能です。ただし、この制度については政府の方針としても一時的な対応とされており、その後のリハビリについては介護保険に移行すべきであるとの方針が出ているようです。

冷静に考えてみればわかることだとは思いますが、脳卒中のリハビリをしようとするのに、月に4時間ちょっと(20分×13単位)で改善させることが出来ますでしょうか?

私たちはそれでは難しいと考え、より多くの時間リハビリを実施することが出来る環境の作れる、介護保険を採用しています。

ただ残念なことに、政府はリハビリを医療保険の延長としてしか捉えていないきらいがありますが。。

私たちに出来ることは成果を少しずつだしていくことしかありませんね。
2014年5月16日(金)
最新のリハビリの種類C
さて、このところrTMSやtDCS等の機械的に脳へ直接刺激を入れていく方法を紹介してきました。では、脳へ刺激を入れていくにはこの方法しかないのでしょうか?

実は、私たちの生活の中でもなじみの深いものを使用して、改善を図っていくという取り組みも存在しています。

それは・・・「鏡」を用いた『ミラーセラピー』という方法です。

とはいうものの、この治療法は過去にも紹介はしておりますので、ご存知の方は多いかと思われます。

このミラーセラピーは本来は幻肢痛に対する治療法でした。幻肢痛とは、身体の失った部分に相当する箇所に痛みが発生してしまう状態です。ミラーセラピーでは、その失った箇所を「ない」と認識させるのではなく、「ある」様に錯覚させることで、痛みの原因はないという感覚を「脳に錯覚させる」ように入力していきます。

この「脳に錯覚させる」ということは、ニューロリハビリにとって重要なポイントとなっています。実は、脳は例え錯覚であったとしても、動作などを認識した部分を作動させようと指令を発します。さらに、継続的に指令が発信されることで、効率化を図るべく脳の回路を最適化していくと考えられています。
2014年4月25日(金)
最新のリハビリの種類B
実はこのrTMSという治療法は様々な方向での使用が提案されております。

まず、主流となっているものとして、上肢機能の再建に向けた取り組みです。他にも言語機能に対するアプローチも実施されているようです。一部歩行機能に関する研究もされているようですが、多くはありません。

 注意点として、rTMSという治療法が、それ単体で最大限の効果を発揮することを保障するものではないということです。
なぜならば、前回も紹介させていただいたとおり、この治療法は脳活動の「アンバランスを整える」ということに主眼を置いたものだからです。

 以前、脳の可塑性を獣道に例えたことがありました。これに倣うと、rTMSを実施するということは、全体的に草刈をしておくことに似ています。もちろん、重点的に獣道の周囲を草刈していくのですが、それだけで、しっかりとした道を作ることは困難です。やはり、各人がしっかり踏みしめて道を作っていくしかないのではないでしょうか?

つまり、rTMSによる『バランス調整』を行ったうえで積極的なリハビリを実施し改善へのアプローチを行うか否かは、やはり本人の意思に委ねられているといえるのだと思います。
2014年4月21日(月)
最新のリハビリの種類A
rTMSやtDCSといった治療法は何故脳卒中後のリハビリに有効であると考えられているのでしょうか?

ちなみに、rTMSとは経頭蓋磁気刺激法の略で、おもに8の字型の電磁石によって生み出される、急激な磁場の変化によって弱い電流を組織内に誘起させることで、脳内のニューロンを興奮させる非侵襲的な方法とのことです。この方法により、最小限の不快感で脳活動を引き起こします。

 一方、tDCSとは経頭蓋直流電気刺激の略であり、頭皮の表面にプラスとマイナスの電極を貼りつけ、数ミリアンペアという弱い電流を流すことにより脳細胞の活動を刺激していくという方法です。

 様々な研究から、これらの治療法は大きく分けて2つの方策が用いられるようです。

 一つは、損傷側で脳活動の低下した部分に対して活発化を促すことでベース面の向上を図るという方法です。もう一つは、損傷により活動が低下した分、相対的に過活動となっている反対側の脳活動を抑制する方法です。

 rTMSはtDCSと比較し、ピンポイントの刺激が可能である一方、装置自体が非常に高価であることがネックとなっており、普及は進んでいない状況です。

いずれにせよ、脳活動のバランスを整えていくという点に着目した治療法といえるのではないでしょうか?
2014年4月3日(木)
最新の脳のリハビリの種類
リハビリの世界における最近の研究によると、様々な最新のリハビリ方法というものが提唱されているようです。
 特に脳の可塑性に着目したものとしては以下のようなものがあります。

 @rTMS・tDCS等の脳刺激法
 Aミラーセラピー
 B動作観察法
 C運動イメージ訓練
 DCI療法
 Eバーチャルリアリティ
 Fロボット支援

まとめてみると、脳の変化を引き出そうとするならば、やはり脳に刺激を入れていくということは原則のようです。
また、そのための方法としては@DFのように半強制的に麻痺側の動作場面を作り出す方法と、ABCEのように脳内での動作イメージを強化していく方法に大別することが可能なようです。

 様々な方法はありますが、出来る限り早期から取り組んでいきたいものですね?
2014年3月18日(火)
脳卒中の経過についてB
前回はFASTという取り組みについて紹介しました。
@顔のまひ(Face) A腕のまひ(Arm) Bろれつが回らない(Speech) C時刻確認(time) の四つに気をつけましょう!

イギリスでは、さらに効果的にこの取り組みを広めるために、TVでのCMに力を入れました。具体的に、顔の麻痺なら役者さんにその麻痺が出る演技をしてもらう、といった形です。

 医療従事者は、常に病気と向き合っているため、当たり前のことになりがちですが、本当に必要なことは『市民一人一人が、“自分”や“家族”の異変にいち早く気づくことが出来る』ということです。

よく、「もうちょっと早く病院に来てくれれば良かったのに・・・」と言われる医療従事者の方もおられますが、そのために必要な行動を起こしていくことが求められているのではないでしょうか?

ですから、私たちは今までもこれからも、利用者様だけではなく、一般の方にも病気について、さらにリハビリの重要性について訴え続けていきたいと考えております!
2014年3月5日(水)
脳卒中の経過についてA
一般的に、脳卒中に関しては早期発見が原則だと考えられております。
なぜならば、早期に発見し、早期に治療を実施することで「被害を最小限に抑える」ことが可能となるからです。

しかし、実際には「何かおかしい・・・」と、感じつつも“きっと気のせい” “勘違い”だろう、と見逃してしまうことも多々あると言われております。実際に、当施設を利用されている方の中にもそのような方は散見されております。

では、早期発見を成すためにはどういったことに気をつけなければならないのでしょうか?

イギリスにてFASTという脳卒中対策キャンペーンが効果的であったことが良く知られています。このFASTとはそれぞれ脳卒中初期に現れる症状や注意点の頭文字をとったものとなっており、次の通りとなっております。

@顔のまひ(Face)
A腕のまひ(Arm)

Bろれつが回らない(Speech)
C時刻確認(time)
2014年2月21日(金)
脳卒中の経過について@
今日からは再度、脳卒中に立ち戻り、その経過について考えていきたいと思います。

まずは脳卒中の原因についてです。ひとまず脳卒中と大きく捉えてはおりますが、ご存知のとおりいくつかの種類があります。

@脳梗塞;脳血管が詰まり、血流が滞ることで脳神経が傷害される
  1)脳血栓:脳血管にできた血栓が詰まってしまう状態
   2)脳塞栓:脳以外で出来た血栓が脳まで廻り、詰まってしまう状態
A脳出血;脳血管が破れた際にできた血腫が脳を圧迫することで脳神経が傷害される
Bクモ膜下出血;脳をおおう膜の中で出血がおき、これが脳を圧迫することで脳神経が傷害される

以上のとおり、様々な形で発生してしまいますが、障害が発生する理由としては、「血流が滞ってしまう」か「脳が圧迫される」ことが原因で、脳神経の伝達が傷害されてしまうことが問題であるようです。
2014年2月13日(木)
最新のリハビリ紹介、、、について
エビデンスについては、一旦休憩して、テレビの話題でもしようかと思います。このページを見られてる方の中でも昨日某局某番組を拝見された方も多いのではないでしょうか?(リハビリに興味のおありの方は特に)

 内容としては『脳』の機能について様々な角度からアプローチしたものでした。そして、私たちの仕事上最も興味が引かれたのは中盤で放送された最新のリハビリについての内容でした。

 始めに言っておくと、私は根拠の乏しい情報に対しては慎重になるべきだと考えています。特にネットやテレビ上の情報は時に一方向的であったり、言葉足らずな場合もあり、それらの情報を適切に扱うには見る側の能力も不可欠であると考えるべきだと考えております。

 一時期トマトが爆発的に売れたり、、、あまり情報に踊らされることは好ましくない、ということです。特にリハビリは今後の一生を左右するものですので、その点には充分注意してください。(もちろんこのページもそうです)

 長い前置きはここらにして、昨日の番組中、リハビリの側面から見て重要であった点は、『脳は変化する』ということが判りやすく紹介されていた点でしょう。BMIやHANDSの効果・根拠については文献でも紹介されていることですし、紹介されていた効果も不思議ではないのです。が、私が驚いたのは今回の内容で、特殊な治療法のみを紹介したのではなく、最終的には自身の努力が鍵を握る点をはっきり明言した点です。

 今までの某局での「闘うリハビリ」といったものでは、治療法の紹介が先行してしまい、本来重要である本人の反復動作がないがしろになってしまっており、あたかもある治療法を行なえば麻痺が改善するという短絡的なものとなりがちでしたが、その点については今回の番組は紹介していただけたのではないでしょうか?

 何度も言いますが、リハビリにおける専門職の役割とは、適切なゴールとそこに至る出来る限り効率的なアプローチを提案し、本人のやる気を引き出し、寄り添うことです。主役は本人であり、リハビリを提供する側ではないということを肝に銘じなければなりません。

テレビに出てきた人たちは自ら主体的に動いていませんでしたか?諦めずに取り組んではいませんでしたか?私の経験上、継続してまじめに取り組んでいる人は、何かしら変化が起こっています。

 長文失礼しました。これからも皆様の一助となるべく地道に活動を続けていきますので、何かありましたらお気軽に問い合わせしてみてくださいね?
2014年2月13日(木)
パーキンソン病についてJ
これまで紹介してきましたとおり、パーキンソン病の治療の最も重要なものは「服薬治療」です。

しかし、近年の研究では、リハビリによってこの効果を補助できるのではないか?という結果が出てきております。
それは、パーキンソン病に対してニューロリハビリテーションを実施するというものです。

ここまで聞いて、「おや?パーキンソン病のリハビリは廃用症候群への対応が主だったのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね?

この「パーキンソン病に対するニューロリハビリテーション」では適切な環境設定や難度設定を用意し、その中で現状の能力を最大限に活用し、目的に従った行動を繰り返し実施します。こうして繰り返される動作を最適化させるため、脳では再構成がなされ、その結果運動遂行が向上されるといわれております。

つまり、運動療法を通じて認知機能に対してアプローチを行うことで、脳内の神経伝達に関する廃用へアプローチしていると考えることが出来るのではないでしょうか?
2014年2月6日(木)
パーキンソン病についてI
ここまでをまとめてみます。
パーキンソン病は、脳の深部でドーパミンといわれる神経伝達物質が徐々に減少していくことで、脳内での神経伝達のバランスが崩れ、指令が正常に伝達されなくなってしまうことが各種症状の原因となっています。つまり、この進行性の症状の根本的な問題は脳の変性であるといわれております。

そしてこれは、症状を改善させる方法は脳内の神経伝達物質を整える必要があることを示しています。そこで、「薬」や「手術」で脳内の環境を調整していくことが必須であると言われているのです。つまり、内部へ直接アプローチを行っているわけです。

 一方、調子が悪く、長期にわたって運動量が減少した状態が続いてしまうと、筋肉や関節の廃用症候群が発生してしまいます。この二次障害に関しては、脳内の環境が改善されたとしても取り除かれるわけではありません。そこで「リハビリ」で筋肉や関節の問題に関して対処していく必要があると考えられております。
2014年1月27日(月)
パーキンソン病についてH
パーキンソン病に対する治療は、一次障害に対しては服薬治療などが主なものとなります。ただし、日常生活を阻害する二次障害(廃用症候群)を予防し最小限にするためには、リハビリが効果的であることが示唆されています。

○科学的根拠及び推奨度
 1)運動療法が、身体機能、健康関連QOL、筋力、バランス、歩行速度の改善に有効である(グレードA).
 2)外部刺激、特に聴覚刺激による歩行訓練で歩行は改善する(グレードA).また、音楽療法も試みると良い(グレードC1).
 3)運動療法により転倒の頻度が減少する(グレードB).
2014年1月14日(火)
パーキンソン病についてG
パーキンソン病に対する治療方法の一つとして、外科的な治療方法もあります。
その一つとして、脳の特定の部分を破壊することによって症状を緩和させるものがありました。しかし、最近では脳の深部に電極を設置し、そこから電気刺激を発生させることで特定の部位の活動を制御し、症状をコントロールしていくDBS(Deep Brain Stimulation:深部脳刺激)療法も行われるようになってきております。

 DBS療法では、外部から刺激強度を調整することで、細かな調整を実施することも可能であり、また、手術中も効果を検証しつつ実施することが可能であるとのことです。

ただし、残念なことにペースメーカーなどと同様にその他の電気刺激や磁気刺激などを併用することは困難なようです。つまり、筋力強化目的で行う治療的電気刺激を含む物理療法の多くは実施できないことになります。

ですので、リハビリの方向性としては、特に二次障害である廃用症候群を予防するためのアプローチとしては運動療法をしっかりと行っていくことが必要です。DBS療法によって体が動かしやすくなった分、活動量を増加していくという考え方ですね?
2014年1月4日(土)
パーキンソン病についてF
あけましておめでとうございます。このページも休み休みではありますが、気づけば1年以上も続けていることになります。これも皆様のおかげですね?

では、引き続きパーキンソン病に関する記事です。今回は、どのような治療方法・介入方法があるのか?ということに触れていきます。

ここで一旦、前回のお話を思い出していただくと、パーキンソン病では脳内の「神経伝達物質」が徐々に“不足”してしまうがために、体が進行性に動きづらくなってしまうということでした。

そこで、最も重要なことはやはり服薬治療であると考えられます。

ここでは、一般的な薬剤の効果を大まかに説明させていただきます。効果を保障するものではないので、疑問に思われることがございましたら、詳細については主治医の先生に確認されることをお勧めいたします。

@補充;脳内で不足していると考えられるドーパミンの代わりに、ドーパと呼ばれる物質を補充します。つまり、『不足分を補う』という考え方です。
A抑制;ドーパミンが不足した分、相対的に過剰になってしまうアセチルコリン(振戦等の原因)を抑えて『バランスを整える』という考え方です。
B放出促進;ドーパミンを放出する『ニューロンを活性化』させるという考え方です。
C受容体活性化;ドーパミンを受け取る受容体を活性化させ、出てくるドーパミンの量自体は少なくても『受け取るチャンスを高める』という考え方です。

この様に、様々なお薬が開発されており、現時点ではもっともリスクが少なく、有効な手段であると考えられております。
2013年12月16日(月)
パーキンソン病についてE
これまで紹介してきたように、パーキンソン病では特徴的な症状が現れます。

パーキンソン病は代表的な大脳基底核の疾患で、これらの症状は、大脳の両側に在る黒質と呼ばれる小さな部分(大脳の重量約1000gに対して黒質は約1g(ほぼ1/1000))の病変にもとづく病気であるといわれております。

ドーパミンは脳内の特定のニューロンに含まれていて、神経伝達物質として働いています。例えば、黒質のニューロンから大脳半球の尾状核へ投射する神経線維はドーパミンを含んでいます。
この黒質という部分で神経伝達物質としてドーパミンを放出するニューロンが何らかの原因によって変性すると、線状体において伝達物質であるドーパミンが減少してしまいまい、様々な症状が出てくるのです。

 簡単に言うと、黒質から「ドーパミン」という物質が出にくくなり神経細胞の連絡がうまくいかなくなってしまうため、体が動きにくくなるということですね?
2013年12月5日(木)
パーキンソン病についてD
本日もパーキンソン病の4大症状(振戦・固縮・無動・姿勢調節障害)について触れていこうと思います。

 今日は4大症状の「姿勢調節障害」について紹介していきます。
 姿勢調節障害とは、姿勢を正常な状態に保つことが困難で、立位時に外部から身体を押すような圧力が加わると、反射的に姿勢を立て直すことができない状態を言います。

パーキンソン病の患者様は立位時に前かがみ(ねこ背の姿勢、あるいはサル様の前屈姿勢)をとる場合が多いといわれております。具体的には頭部はうつ向き加減、上半身は前傾し、両肘は曲げ気味で回内させ、両膝をやや屈曲する独特な姿勢です。

 場合によっては、腰の部分が直角に近いほど上半身が前傾する例もあり、このような姿勢の場合でも、ベッド上に仰向けに寝てもらうと、上半身・腰部・下半身が見事なほどに真直ぐになるという特徴があり、ここが変形性脊椎症などに見られる前彎と異なる点となっております。

 症状が進行すると、立位時に体を押すと、押されるがままに突進するようにバランスを崩してしまうという突進減少をきたすようになり、転倒のリスクへ直結する状態となってしまいます。
2013年11月26日(火)
パーキンソン病についてC
本日もパーキンソン病の4大症状(振戦・固縮・無動・姿勢調節障害)について触れていこうと思います。

 今日紹介していくのは「無動」についてです。
まず、無動という言葉についてですが、同様の症状を指すものとして「寡動」というものがあります。これは、傾向が同じような症状であるため、まとめて語られることが多いものなのですが本来は、動きが少なくなった状態(寡)を寡動、動作がなくなったもの(無)を無動と呼ぶとすると考えやすいのではないでしょうか?

パーキンソン病の患者は、自発的に運動しようとするときに、始めるまでに時間がかかり、始めても、のろのろとして緩慢にしか動作できず、この状態を寡動といいます。研究者によっては緩慢な動作を寡動、動作を開始することの困難さを無動とする人もいるようです。

 運動の開始が遅く、動作がのろのろとしているばかりではなく、二つ以上の違った動作を同時にすることがむずかしいといったことも特徴です。例えば話をしながら脱衣したり、歩きながら手を使うといったことが困難になります。また発病の初期からボタンのかけ・はずしのような細かな動作が難しくなり、時間がかかるようになってきます。寡動が進行すると、寝たきりで、起き上がることも寝返りを打つこともできなくなります。仮面様顔貌(表情に乏しくなる状態)、単調な言語、小文字症なども一部緩慢動作のえいきょうであるとも言われております。
2013年11月1日(金)
パーキンソン病についてB
本日もパーキンソン病の4大症状(振戦・固縮・無動・姿勢調節障害)について触れていこうと思います。

 今日紹介していくのは「固縮」についてです。
 脳に障害を受けた場合、筋肉の緊張をコントロールすることが困難になる場合があります。これらを筋緊張の異常といいます。特に筋緊張が亢進(増加)した状態で典型的なものとして、「痙縮」と「固縮」があります。
 痙縮というと、これまで何度か紹介してきましたが、脳卒中などで頻発する筋緊張の異常です。一方、固縮はパーキンソン病などにみられるものとなっております。

 固縮は一般的に「はじめは」自分でその症状に気づくことは少なく、医者などの他者によって確認されることが多いものです。
 関節を動かした際に、カクカクと表現される断続的な抵抗感を感じるものは歯車様といわれ、持続的に抵抗感を感じるものは鉛管様といわれております。

 初期には自覚しにくい症状ですが、症状の進行に伴い、動作がぎこちなくなったり、歩行時の腕の振りが悪く足が引きずり気味になったりする原因となります。
2013年10月9日(水)
パーキンソン病についてA
先日、パーキンソン病の一次障害と二次障害があると紹介させていただきました。本日からはこの一次障害、つまりパーキンソン4大症状(振戦・固縮・無動・姿勢調節障害)について触れていこうと思います。

まずは、「振戦」です。一般的に手、足におこるふるえのことであり、頭や体全体にもおこる場合があります。また、左右どちらかに症状が強いのが普通です。ふるえをおこす病気はいろいろありますが、パ-キンソン病のふるえは、安静時に強くふるえ、動作時には消失もしくは軽減するのが特徴です。1秒間に4〜5回くらいのふるえで、手指におこるふるえで典型的な症状は丸薬を指で丸める仕草に似ています。

 中脳の黒質とよばれる部分や大脳の脳基底核とよばれる部分の神経細胞に変性が認められるため、安静時の自律神経障害がおこり、ふるえが発生します。運動時には体を動かすための強力な指令がくだるので、症状が打ち消されるといわれております。
2013年10月1日(火)
パーキンソン病について
当施設では「脳」に関連する障害についてのリハビリをメインとして行っております。代表的なものとしては脳卒中が上げられますが、その他にも様々なものが存在しております。その中には難病指定となっている、神経変性疾患である『パーキンソン病』があります。

パーキンソン病の機能障害は、一次障害と二次障害にわけられます。
 一次障害とは振戦や固縮、無動、姿勢調節障害といったパーキンソン病固有の 障害のことをさします。一方、二次障害とは一次障害による低活動のため起こる廃用症候群のことをいいます。
パーキンソン病における二次障害はまれなものではなく、合併しやすいものであるといわれております。

 基本的に一次障害に対しては、適切な投薬治療が有効であるといわれておりますが、二次障害を予防し、転倒のない安全な在宅生活を継続していくには、効果的なリハビリテーションを加えていくことが必要です。
2013年9月20日(金)
復職についてB
復職に関して話し合いが行われた場合(これは経験上の話にはなりますが)会社側からの質問の中で最も多いものは「再発の危険性は?」といった『医学的な安定性』についての質問であることが多い状況となっております。

 逆に、「手はどの程度動くか?」であったり「どの程度歩けるのか?」といった身体機能についてだけでなく、「認知機能はどのような状態なのか?」といったことに関して質問が及ぶことはあまりないように思います。

これは、一般的な会社ではまだまだ脳卒中経験者の受け入れが多くないことが一因となっていると考えられます。また、脳卒中の後遺症は目に見えないものも多いため、見た目では問題が判別困難であることも問題となっています。

もちろん、情報交換が充分に行われていない状況であっても復職が成される場合もあります。ただし、この場合は実際の仕事場面において問題が表面化してくる場合もあり、仕事上ミスが出てくれば会社側にデメリットとなりますし、本人にとってもストレスとなるといったように、お互いにリスクがあることを理解しておかなければなりません。このリスクを最小限にするために、話し合いをしておくことは有効であると考えております。
2013年9月13日(金)
復職についてA
前回は、「働く意欲」と「雇用の意思」がなければ復職は困難であると紹介させていただきました。当然のことのように思われるかもしれませんが、片方でも揃わなければ次に進むことさえ困難だということなのです。
つまり、第一段階としてお互いにその気になっていないと話は進まないということです。

その次の段階、いわば第二段階は歩み寄りであり交渉ということになります。『ある環境で働いてほしい』という意向に対し、『現状の自分の出来うる能力』を提示することで、お互いの状態に対する認識を高めることを行っていくのです。
これから復職をお考えになっている方には必ずこの「話し合い」を行なっていただきたいと考えています。

 例えば、営業活動を実施する場合、言語機能はもちろんとして適切な対人関係を構築する能力が求められますし、状況によっては車の運転についても必須事項になってくるかもしれません。

これらの状況に対して、全てに対して対応可能であるということであれば問題はないかもしれません。しかしながら、そのいずれかが実施困難な場合が多々あります。このような場合、今度はこちらがどのような作業が困難であり、どのような作業は可能であるかということを伝えていく必要があります。このような話し合いをつめていくことで、両者ともに安心して付き合っていくことが可能になると考えられます。

そのためには、医療面や機能障害や能力障害について専門的知識を持ったものがアドバイスを加えていくことも有効な手段です。
2013年9月6日(金)
復職について
さて、先日触れた復職についてですが、確かに困難ではあるものの、決して不可能な事柄というわけではありません。

とても難しい問題ですが、このような場合こそシンプルに考えていくことが必要です。つまり、基本的なことを言えば、「需要」と「供給」のバランスが整えば、問題は最小限になるということです。

ここで言う「需要」とは、ある一面から見ると「働きたいという意思」のことになります。これに対する「供給」とは「働いてほしいという意向」となりますね?

まず必要不可欠なことは、労働意欲はあるのか?ということです。近年、脳卒中後のうつ症状はもちろん無気力症についても注目がされるようになってきております。本当の意味で本人にその意欲がないのであれば、いくら周りが躍起になっても事態は一向に進まないことは明らかです。このような場合は、周りのサポートとともに、必要であれば精神面のサポートも検討していく必要があると考えられます。

また、会社側の受け入れ態勢も必要な事柄です。国としても障害をもたれる方の雇用の推進を行っていますが、企業によっては一部の動作に困難感を認めた時点で採用を見送る場合もあるようです。つまり、全ての企業が常時受け入れ可能な環境にあるわけではなく、依然として受け入れ可能な部署・人員・時間帯 等の条件は限られているということを理解しなければなりません。

ここまでの条件が整って初めて第一段階をクリアしたと言えます。
2013年8月28日(水)
脳卒中のリハビリG
今日も脳卒中の維持期のリハビリについて紹介させていただきます。(参考資料は脳卒中ガイドライン2009を使用)

 維持期のリハビリについては前回に引き続き、以下のように説明されております。
 『復職を希望する場合、就労能力を適切に評価し、その上で、職業リハビリテーションの適応を検討する(グレードC1)。』

これは何故グレードCなのでしょうか?復職しようと考えるのであれば、そのためのリハビリを行っていくことはとても有効なことのように思えませんか?



実は、この問題は大変難しい状況にあります。
単純に、脳卒中後は「身体障害」「認知障害」「情緒行動障害」 等、様々な要因によって復職は困難となります。
 体が動きづらければ肉体労働は困難となり、種々の認知機能に問題があれば対応した問題が発生します(注意障害なら集中しにくい、遂行機能障害なら段取りが苦手 等)。また、情緒行動障害の場合、集団行動を行う中で困難を生じる場合もあります。
これらの症状は、自然経過やリハビリの継続によって改善を認めることもありますが、現在の医療では後遺症というものは少なからず残存するものであるといわれております。

そこで、仕事を再開するためのリハビリが成す役割とは、現状持てる能力を最大限に活かすことで可能となる仕事内容の選定と技術の獲得となります。

しかし、少しずつ景気が上向いてきたといわれる昨今ですら、すぐに希望の職種を見つけ、さらにはそこに就職するということは、後遺症の有無にかかわらず困難な問題です。もちろん、会社側にも様々な制度もあるのですが、受け入れがうまくいかない場合も多々存在しております。

つまり、ソフト(本人)とハード(受け入れ側)がともに対応が出来る状況にない限り、復職はやはり困難なのです。
2013年8月22日(木)
脳卒中のリハビリF
脳卒中の維持期のリハビリについて紹介を行っています。(参考資料は脳卒中ガイドライン2009を使用)

 維持期のリハビリについては前回に引き続き、以下のように説明されております。
 『在宅生活を維持、支援するための間欠入院によるリハビリテーションは行っても良いが、十分な科学的証拠はない(グレードC1)。』

 前回も触れましたが、一般に言われている維持期、つまり在宅期(生活期とも言えます)は単純に入院生活の延長というわけではありません。

もちろん、退院後何もしない生活を送るよりは再入院を実施する方がよい場合もあると考えられますが、在宅生活をより円滑に進めていくためには、生活場面で粘り強くリハビリを継続していくことが必要なのではないでしょうか?
2013年8月14日(水)
脳卒中のリハビリE
今日からは脳卒中の維持期のリハビリについて紹介を行なっていきたいと思います。
 (参考資料は脳卒中ガイドライン2009を使用)

 私たちの施設を利用される方の多くは、この維持期と呼ばれる回復期退院後(概ね発症6ヶ月程度)の方となっております。

 便宜上『維持期』という言葉を使わせていただきますが、実はあまり好きな言葉ではありません。
“リハビリを行う以上、目的は改善にあると考えられます。”
その方の機能的・能力的・社会的な役割が最大限に引き出された状態になって初めて『維持』と呼べるのではないかと考えているからです。
もちろん、個々の障害・症状 等の諸事情によってその最大限は変わってくるかと思われます。しかし、少なくともいわゆる『維持期』への移行期にそこまで改善されている例は多くはないと考えられます。ですから、私たちは維持を目的としない「在宅期」といった捕らえ方をしています。

さて、脱線してしまいましたが、維持期のリハビリについては以下のように説明されております。
 『 回復期リハビリテーション終了後の慢性期脳卒中患者に対して、筋力、体力、歩行能力などを維持・向上させることが勧められる(グレードA)。そのために、訪問リハビリテーションや外来リハビリテーション、地域リハビリテーションについての適応を考慮する(グレードB)。』

 前回までの内容とは少し変化が見られていることがお分かりいただけますでしょうか?ここにきて、廃用症候群の予防でもなければADLの改善でもなく、機能面の改善に目を向けていく内容へと変化しております。
つまり、前述のとおり、この維持と呼ばれる時期にいたって初めて機能の改善を行っていく時期に入るわけです。
2013年8月10日(土)
脳卒中後のリハビリについてD
脳卒中発症後からの回復期のリハビリの進行について紹介を行なっております。
 (参考資料は脳卒中ガイドライン2009を使用)

 回復期のリハビリについては、最後に以下のように説明されております。
 『合併症および併存疾患の医学的管理を行いながら、後述のさまざまな障害や問題に対して、薬物療法、理学療法、作業療法、言語聴覚療法、手術療法などの適応を判断しながらリハビリテーションを行うことが勧められる(グレードB)。』

ここにきて、障害を含む各種問題に対するアプローチについて触れられておりますが、その大前提としては医学的管理が必要であるという考えからが根本にあると考えられます。

 当然といえば当然のことではありますが、入院中のリハビリとは・・・

 @医学的管理
  AADL再獲得(能力障害改善)
  B後遺症の改善(機能障害改善)

 上記の順に重要度が設定されているものと考えても良いのではないでしょうか?
つまり、現時点での医療体制において、入院リハの役割とは『医学的に落ち着いた状態で、その時点で本来可能な動作を引き出し、ADL自立度を最大限まで確保し、自宅復帰への道筋を作成すること』となります。

ですので、退院後の長い人生を保障するものではありません。当然リハビリを中断してしまえばそこで回復は止まってしまいます。逆に言えば、その後どう動くかで、その方のその後は大きく変わってくるのではないでしょうか?
2013年8月3日(土)
脳卒中のリハビリについてC
脳卒中発症後からの回復期のリハビリの進行について紹介を行なっております。
 (参考資料は脳卒中ガイドライン2009を使用)

 回復期のリハビリについては、前回のものに続いて以下のように説明されております。
 『予後予測による目標の設定(短期ゴール、長期ゴール)、適切なリハビリテーションプログラムの立案、必要な入院期間の設定などを行い、リハビリテーションチームにより、包括的にアプローチすることが勧められる(グレードB)。』

こちらもADLを重視し、目標を明確に定めてアプローチを行っていくことが重要であるといわれています。このアプローチには退院前の自宅の住宅改修を含め、退院後の生活を滞りなく勧めていくことが必要であると考えられます。
2013年7月26日(金)
脳卒中のリハビリについてB
脳卒中発症後からのリハビリの進行について紹介を行なっております。
 (参考資料は脳卒中ガイドライン2009を使用)

 今回は、回復期のリハビリについてです。
 回復期のリハビリについては、以下のように説明されております。
 『移動、セルフケア、嚥下、コミュニケーション、認知などの複数領域に障害が残存した例では、急性期リハビリテーションに引き続き、より専門的かつ集中的に行う回復期リハビリテーションを実施することが勧められる(グレードB)。』

 「専門的かつ集中的に行うリハビリ」と聞くと確かに良くなりそうですね。
では具体的に何が改善してくるかというと、それは日常生活動作、いわゆるADLというものだと言われております。

 現状の医療制度の中では、入院というものは基本的には病状の安定化と、自宅へ復帰するもしくは施設への入所が可能となるようADLを再獲得していくことが主な目的となります。

そのためには、日々の生活を手伝ってもらうのではなく、多少時間はかかっても自身の力で出来るだけ行うといった、積極的なADLリハビリを実施していく必要があると考えられます。
2013年7月24日(水)
脳卒中リハビリについてA
急性期において、リハビリにとって最も重要なことは、「いかに廃用を予防していくか?」であるということを前回も紹介させていただきました。

そこで、その対策として近年注目されている治療について紹介させていただきます。

その治療法とは・・・

 このサイトをご覧になった方では見当がつくのではないかと思われますが、『治療的電気刺激(TES)』と呼ばれる治療です。

 急性期、積極的に動作を実施することが困難な時期に発生する廃用症候群は、回避困難な症状であるといわれてきました。そこで、ある研究では、脳血管障害によって昏睡状態となった患者様に対し治療的電気刺激を行うことで、廃用性筋萎縮を予防することは出来ないのか?ということを検討されております。
 結果としては、対照(TESをしなかった)群では、ご存知のとおり筋萎縮は徐々に進行してしまいました。一方で、TESを実施した群では、筋萎縮は4%程度に抑えることが可能であり、これはTESをしなかった場合と比べて有意な差を認めたとのことでした。

 今回の結果は、TESを実施するだけで筋萎縮を最低限にすることができる可能性を指し示しています。

 急性期での筋萎縮が最低限であれば、回復期では日常生活動作の再獲得に専念することが可能です。回復期で日常生活動作が出来る限り自立に近い状態に移行できれば、在宅でのケアはより受け入れやすくなると考えられます。在宅での生活に余裕が出来るのであれば、機能面へのリハビリへ向かう意欲も出てくるのではないでしょうか?

この初期からの治療が徹底されるだけでも、入院期間は短縮されることが考えられます。そうすれば医療費なども削減できるのではないでしょうか?

また、リハビリの役割も大きく変わってくることが考えられます。今までの維持するリハビリではなく、回復していくためのリハビリへ移行していけるのではないでしょうか?

 大きな話になりましたが、それだけ初期でのアプローチが重要であるということを紹介させていただきました。
2013年7月20日(土)
脳卒中リハビリの流れについて@
これまで脳卒中の様々な治療法について触れてまいりましたが、今回からは、脳卒中発症後からのリハビリの進行について説明してまいりたいと考えております。

 参考資料としては脳卒中ガイドライン2009を使用しています。

まずは、急性期のリハビリについてです。
 急性期のリハビリについては、以下のように説明されております。
 『廃用症候群を予防し、早期のADL向上と社会復帰を図るために、十分なリスク管理のもとにできるだけ発症後早期から積極的なリハビリテーションを行うことが強く勧められる(グレードA)。その内容には、早期座位・立位、装具を用いた早期歩行訓練、摂食・嚥下訓練、セルフケア訓練などが含まれる。』

ちなみに、ここで言うグレードとは、『A』が「行なうべき」といえるレベル、『B』で「行なったほうが良い」というレベル、『C』については「行なっても良いが効果の根拠は乏しい」レベルとなっております。

近年、早期リハビリの重要さが訴えられるようになっておりますが、特に急性期において必要とされることはやはり、この「廃用症候群予防」であると考えられております。


リハビリが始まって様々なアプローチ方法は開発されてきましたが、一番大切なことはシンプルであり、臥床時間がどうしても長くなってしまうこの時期にどれだけ体を維持できるのか?ということに尽きるかと思われます。
2013年7月12日(金)
筋力低下E
世の中には様々な電気刺激の方法があります。その中でも、前回紹介させていただきましたのは『治療的電気刺激療法』というものです。

この『治療的電気刺激(以下TES)』をいろいろ調べてみると・・・

「神経や筋肉等を刺激し、随意運動能力の回復を目的に使用。血流が増加し、痛み発生物質や老廃物を排泄し、栄養が供給され、局所症状も改善。」と様々な効果が認められるといわれております。

また、脳卒中を対象として治療した場合、麻痺筋の痙性の抑制効果や筋力強化の効果が見込まれるとされています。

もちろん、これはベース面の強化となりますので、これだけ行えば全てが改善するとの効果を保障するものではありません。が、これまでどんなに努力を重ねてきても「こんなものか?」と思っていたものが、例えば座ったままで/寝たままで、それ以上の効果が見込まれるということであれば、採用を検討してみることも一つの手段ではないでしょうか?
2013年7月8日(月)
筋力低下D
では、脳卒中によって片麻痺を呈した患者様の筋力に関して有効な治療法とはどのようなものなのでしょうか?

そもそも、筋力をアップさせようとする場合、皆さんはどのような方法を思い浮かべるでしょうか?

おそらく、腹筋や腕立て伏せ、ダンベルを用いた運動等を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?

 一般的にはこれでいいと思います。筋肉に負荷をかけつつ運動を実施していくことで”一般的には”筋力は増加します。

でも、よく考えてみると、脳卒中後の後遺症である片麻痺の場合、『動かすことが困難』であるからこそ筋萎縮が発生しているわけです。健常高齢者の方であれば一般的な筋トレも充分効果的なものであると考えられますが、麻痺には麻痺の特性を踏まえた治療を行わなければなりません。

その方法の一つとして、海外では一般的に実施されている治療法があります。それが、当施設でも実施している治療的電気刺激と呼ばれているものなのです。
2013年7月5日(金)
筋力低下C
脳卒中では、脳からの指令の段階でのトラブルでありますので、筋の太さや筋の繊維数には基本的には問題がないことになります。

つまり、脳からの指令が来ないがために、本来"問題ないはずの筋肉"を動かす機会を失ってしまっているのです。

ご存知の通り、人間は安静臥位で1週間過ごすと筋力は10〜15%程低下してしまうと言われておりますので、例え麻痺があったとしても筋肉自体がしっかりと収縮する場面を作らない限りは筋力低下を免れない状態にあるのです。

しかし、特に脳卒中片麻痺を呈した場合、自力では適切に筋肉を動かすことが困難なことが多いというのが現実です・・・
申し訳ございませんが、少なくとも私の知る限り、関節可動域訓練をいくら実施しても、ポジショニングやその他の手技を実施使用とも基本的には筋萎縮をとめる有効な手段にはなりません。

だからこそ、有効な手段を皆で行うことが必要なのです。
2013年7月2日(火)
筋力低下B
では、筋力とはいったいどういう要素で出来上がっているのでしょうか?

それにはまず、筋肉がどのように動いていくのかを知る必要があると考えられます。

 筋肉を動かすためには、脳からの指令が必要です。
 脳から出た指令は、電気的な伝達と化学的な伝達を繰り返しつつ、神経を下降し、脳幹で多くの指令は半体側に移行します。
この指令は脊髄をそのまま下降し、神経根へ分岐し、それぞれの支配する筋へ伝達されます。
 神経は筋肉と神経筋接合部と呼ばれる場所で科学的な信号伝達を行います。

ここまでをまとめると・・・
脳→シナプスを伝達→脳幹で反対側へ移行→脊髄を下降→神経根を介してそれぞれの筋肉へ
 というように、電気的な伝達と化学的な伝達を繰り返していることがわかります。
神経筋接合部まで伝達された指令は、科学的伝達にて一本一本の筋繊維から全体へと伝わっていきます。

ですので、実質的に筋力に影響を与えるのは、@筋断面積(筋肉の太さ) A筋繊維動員数(一度に動く筋繊維) B神経の発火頻度(神経の伝わり具合)が重要な点になります。
2013年6月29日(土)
筋力低下A
前回紹介させていただきました筋力低下の原因のうち、神経筋接合部疾患や筋疾患においては筋自体の問題となっておりますが、運動ニューロン障害では基本的には筋自体は問題がありません。

ですので、「筋を活動させることが可能であれば」、筋力を"落とさない"ないし"強化"することも可能であると考えております。

そういう意味で、対策をとれば筋力低下が最低限に抑えられたであろう運動ニューロン障害に対して、なんら有効な手段をとらなかった場合も『廃用症候群』にあたるのではないかと考えているのです。(もちろん極論ではありますが)

ただし、問題は筋力強化は最低でも筋肉が存在することが条件になるということだと思います。

 筋力低下が進むと、筋は萎縮し、脂肪化するとも言われております。
 早めの対応がやはり重要ということですね?
2013年6月27日(木)
筋力低下@
まず、筋力低下の面から考えたいと思います。

 筋力低下の発生する原因は大きく分けると以下のようなわけ方が可能です。
@上位運動ニューロン障害(脳卒中 等)
A下位運動ニューロン障害(脊柱管狭窄症 等)
B神経筋接合部疾患(重症筋無力症 等)
C筋疾患(多発性筋炎 等)
D廃用症候群

Cについては筋自体の疾患であり、Bについても筋に信号を送ることが出来ない状態になります。@Aについては筋に信号を送る途中での問題です。Dについては、筋を使わないことによっておこる筋力低下です。
2013年6月22日(土)
早期離床のススメ@
近年、脳卒中発症後の「早期離床」が必要だと言われるようになってきております。

 では、それはいったい何故なのでしょうか?それには、廃用症候群が大きくかかわっていると考えられます。

 なぜならば、極端に言ってしまえば脳卒中による片麻痺における筋萎縮(筋肉が細くなること)や関節拘縮は基本的には廃用症候群によって発生すると考えることが出来るからです。
 脳卒中になった直後は、脳以下の身体の状態としては筋萎縮や拘縮の起こっていない状態です。
ただし、麻痺や痙縮などの後遺症が出現し、さらに長期の安静を実施することで、上記のような症状を作ってしまうのです。
2013年6月21日(金)
脳卒中のリハビリD
では前回もまとめに対して、ニューロリハビリテーションにおいてそれぞれに対しどのような方向性でアプローチを実施していくのかを紹介してまいります。
 
@指令の伝達経路の再構成(バイパス作成)
 A動作を少しずつ改善し、過剰な活動を抑える
 B損傷と半体側の脳機能の調整
 C損傷側脳機能の活発化
 D脳機能のバランス改善による動作コントロール
 
これらを成すためには、「麻痺側を積極的に使用する」と同時に、「非麻痺側の過剰な働きを抑える」ことが必要です。そして、それを行うことがニューロリハビリにおけるポイントの一つであると考えております。
2013年6月15日(土)
脳卒中のリハビリC
今回は脳の働きの面から考えて見ました。
 
まとめると・・・
 @指令の伝わる経路が遮断されることで麻痺が発生
 A動作が困難なため、補うために過剰な筋活動が発生
 B脳の中でも損傷側を補うよう反対側の脳が過活動となる
 C動作困難及び不使用により損傷側脳活動低下
 D動作をコントロールするための抑制機能低下
 
ということで、脳卒中で起こる多くの症状は、単純な麻痺のみによるものではなく、脳活動のバランスが不良になったことにより、動作のコントロールが困難となったことも大きな問題の一つとなっています。
 
ですから、脳に対するアプローチが必要であると考えられているのです。
2013年6月3日(月)
脳卒中のリハビリB
脳はご存知の通り、手足へ運動の指示を送ったり、感覚を受け取るといったような上下への信号伝達を行っております。
 実は、その他にも「左右の脳同士」でも信号の伝達を行い、運動や高次脳機能などのバランスを保っています。
 
脳卒中になった場合には、この左右の大脳半球で活動がアンバランスとなってしまうことが、機能障害を引き起こす一因であるということが言われております。
 
では、どのようにしてこのバランスを整えていけば良いのでしょうか?
 
ある研究では、健常成人に対して片手を拘束した状態を維持した場合、その運動を司る脳の機能は低下したといわれております。
 また、脳卒中片麻痺患者に対し、非麻痺側上肢を拘束し、麻痺側上肢を積極的に使用することを促した場合、脳活動のバランスが改善されたとする研究結果も出てきているようです。
 
これらの結果からわかることは、麻痺した上肢を使わないままでいるということは、脳のアンバランスをより強めてしまう可能性があるということではないでしょうか?また、積極的に使用していくことで、脳機能を改善させる効果も期待できると考えられております。
2013年5月31日(金)
脳卒中のリハビリA
脳出血では、血管が破裂した際に出血すると言うダメージの他に、血腫や脳浮腫による圧迫が加わることで神経細胞はダメージを受けてしまいます。
 脳梗塞では、神経に酸素や栄養を与える血流が途絶えてしまうことによって、神経細胞はダメージを受けてしまいます。
 
ですので、これらは発生原因や治療方法は大きく異なる物となっております。
 
ただし、神経の経路のことを考えた場合、運動中枢から抹消部への指令の伝達が途絶してしまっているということ、また壊死した部分の細胞の再生は現段階での技術では困難であるという点では同様となっており、ある程度共通の考え方は出来ると考えられております。
 
その考え方とは、脳卒中によって破壊されたネットワークを、途絶した(壊死した)部分を迂回するなどして、新たな経路をバイパスのように繋げていくことが有効なのではないか?という考え方です。
2013年5月29日(水)
脳卒中のリハビリ@
それでは、ボトックスで作った下地で何をすれば改善が認められるのでしょうか?
 
このページでは何度もお伝えしてきたことですが、現在のリハビリの世界では、麻痺した部分を積極的に使用することが勧められております。
 
今回からは、なぜこの方法が勧められているのかということにフォーカスを当てて紹介していきたいと思います。

まず、脳卒中には脳出血や脳梗塞など様々な種類がありますが、運動機能面で大きく問題となるのは、脳からの運動を可能にするための指令が途中で途絶えてしまうことにあります。これが麻痺が起こる原因です。
 
これに加えて、筋肉の緊張をコントロールすることが困難になるので、過剰に力が入ってしまう痙縮が起こります。
 
また、麻痺側が動きづらいのを補足するように非麻痺側を活発に働かせようとするため、脳自体の働きが損傷側とは反対の部分で活発となり、このことで損傷側の脳の働きを低下させてしまうという研究結果も出ております。
 
ざっと挙げただけでもこれらの複合的な要素が組み合わさり、運動は困難となってしまいます。
2013年5月27日(月)
ボトックスについてB
ちなみに、何度も説明させていただきました通り、ボトックスは『痙縮をコントロールする』治療です。本来は片麻痺を治療する方法ではありません。
 
では何故、片麻痺の治療のひとつとして、このボトックスという方法が使われるようになったのでしょうか?
 
現在、片麻痺の治療として、積極的使用を実施することが挙げられております。その最たるものがCI療法のように非麻痺側上肢を抑制し、麻痺側上肢を強制的に使用していく治療法ですね?ただし、この方法では、充分に指が伸びない(伸展しない)場合は実施が困難であるといわれております。
 
なぜなら、様々な所作(作業)を行う際に、ある程度の指の動きがなければ出来る動作が限られてしまうため、効果的な治療が困難となってしまうからです。
 
HANDS療法では、この問題を解決するために機能的電気刺激(FES)や装具を併用します。
 
これらの動きづらさの原因として最も大きなものとして挙げられるのが『痙縮』です。長くなってしまいましたが、この原因を取り除こうという試みがボトックスというわけです。
 
つまり、ボトックスを行うということは、治療に必要な運動を実施しやすい「下地を作る」ということなのです。
2013年5月20日(月)
ボトックスについてA
ボトックスに使われているボツリヌス毒素は、注射後すぐに神経終末への取り込みが始まります。しかし、実際に臨床効果が確認されるのは3〜4日後であるといわれており、さらに最大の効果が発揮されるのはおよそ3〜4週間後に発現されるとされております。また、注射の効果は3〜4ヶ月効果程度持続します。
 
まとめると・・・
  @注射直後に効果が出るものではない
  A最大の効果は約一ヶ月後に現れる
  B効果は永続的なものではない
 
このように、注射直後には効果が現れるものではありませんので、もしボトックスを実施されたばかりの方で効果が実感されなかった方は気落ちしないようにしてください。また、実施した直後に痙縮が抑制されたと感じられた場合、もしかすると事前に行った麻酔などの処置が影響しているかもしれませんので、引き続き様子を見ていってください。
2013年5月18日(土)
ボトックスについて@
先日上肢のリハビリを継続されている方でうれしい報告を聞くことができましたので、もう一度上肢の治療について紹介させていただこうかと思います。
 
今日紹介するのはボトックスです。以前も触れたことはありますが、もう少し細かい説明を行っていきますね?
 
ボトックスとは、A型ボツリヌス毒素の注射製剤のことです。
 
このボツリヌストキシンは神経筋接合部などでアセチルコリンの放出を妨げる働きをします。つまり、簡単に言うと神経の働きを弱める=筋肉の動きを抑える作用があるということです。
 
ですので、このボトックスを使用するということの本質は、過剰に働いている筋肉の働きを抑えることによって、その他の筋を動きやすくさせることにあるということを覚えておいてください。
2013年5月14日(火)
利用者様のお声
今、このページをご覧になっている方で昨日のNHKの番組をご覧になった方も多いのではないでしょうか?
 急性期から転院するリハビリテーション病院でのことでしたので、いわゆる回復期のリハビリを担当されておられました。このページでも紹介させていただいている脳卒中ガイドラインに沿ったすばらしい治療がなされていましたね?私たちも見習っていきたいものです。
 
さて、患者様よりうれしいお言葉をいただきましたので紹介させていただきます。
 
その一言とは「爪が切れたよ」というお言葉でした。
 
たった一言、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。それでも私たちにとっては大きな一言でした。
 
この利用者様は脳卒中を発祥されており、比較的若年であるということから在宅においても積極的なリハビリを希望されており、当施設の利用が開始となりました。
 
当初の状態としては指がわずかに開く程度の状態でしたが、本人様も意欲的にリハビリに取り組まれたことにより、上肢機能が改善し、ペットボトルの把持さえ可能な状態になりました。
 
その後もリハビリを重ね、ある日言われた言葉がこの「麻痺した手を使って爪が切れたよ」という言葉だったのです。まだ難しくてイライラしたとは言われておりましたが、その顔にははにかんだような笑顔を浮かべられておりました。
 
私たちはおそらく、この瞬間のためにこの仕事いついているのだと思います。もっともっと多くの人にこのような体験をしていただくためにこれからも努力を続けてまいります。
2013年5月10日(金)
TENSについて
TENSについて取り上げましたので、説明を加えておきたいと思います。
 
TENSとはtranscutaneous electrical nerve stimulationの略称であり、和訳すると経皮的電気刺激となります。
 痛みの局所、周辺、あるいは支配脊髄神経起始部などに表面電極を置き、低周波を通電する電気療法の一種です。
 下行性抑制性経路を活性化させます。これによる効果は、電気刺激後4〜5時間に渡り発揮されるともいわれております。
 
つまり、表面から電気刺激を行うことで末梢神経の働きをコントロールし、疼痛や痙性を抑制させることが出来る治療法だといわれています。
 
脳卒中ガイドラインでもグレードBにて紹介されている治療法ですので、日々のリハビリにもしっかりと取り入れていけるとよいですね?
2013年5月6日(月)
最新情報紹介
電気治療に関連して、興味深い情報を発見しましたので紹介します。
 
以下の写真をご覧ください。これがなんだかわかりますか?
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  ・
 実はこれ、「TENS」と呼ばれる電気刺激療法のための装置なのだそうです。
 TENS(経皮的末梢神経電気刺激)とは、疼痛の緩和や感覚の調整、そして現在では痙性の抑制にも用いられているものです。
 
一般的には小さな冷蔵庫くらいの大きさの装置ですので持ち運びの出来ないものですので、携帯できるTENSというだけでも画期的なものではないでしょうか?
 
もちろん、刺激強度の微調整は可能なのか?使い捨てなのかどうか?等々・・・問題は山積かと思われますが、技術の革新にはいつも胸躍らされますね?
2013年4月27日(土)
運転についてH
ここまで紹介してまいりましたとおり、運転再開に関して認知面の評価は重要な役割を占めております。
 
しかし、皮質下出血などでも発生するてんかん発作も重要なリスクファクターであり、充分な注意を要します。
 
また、身体機能面においても感覚障害を有する場合やクローヌスが出現する場合、利き手側に麻痺が生じた場合には運転補助装置の設置は必須であると考えられます。
 
重要なことは、リスクを最小限にするためにあらゆる手段を講じておくということだと思います。
 
最後になりましたが、ここまで厳しい基準にすれば「運転許可なんて出す気がないんじゃないか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は当施設においても運転再開が可能になっている方は毎年のようにいらっしゃいます。また、幸いなことにそれらの方で事故を起こされたという報告は今のところ届いておりません。
 
私たちはこれからも、皆さんが安全に快適な運転を継続できるよう、厳しい目で評価を行ってまいりたいと考えております。
2013年4月24日(水)
運転についてG
運転の可否に関する神経心理学的検査のスクリーニングとしては、Trail Making Test(TMT)が代表的です。これは数字を1から順に最後まで線を引いていく検査で、その時間と正確性をみていきます。この検査では特に選択性注意と分配性注意を評価することが可能となっております。
 
先だってお伝えしておりますとおり、重度の高次脳機能障害を有したまま運転を継続することは危険を伴います。
 
ですので、まずはこういった検査を充分に行い、運転が許可できない場合にはそれを伝えていく必要があります。また、これらの検査で基準を満たし問題がないと判断された場合、簡易自動車運転シュミレーションやコースの実走を実施し、安全を数段階にわたって確認した上で運転再開への道を切り開いていくことが必要だと考えております。
2013年4月20日(土)
運転についてF
失語症の有無に関してはどうでしょうか?
 
その他の認知機能、高次脳機能障害に比べると、運転自体に関して問題となることは多くはないとのことです。
 
ただし、有事の際に誘導に従うことが出来る程度の聴理解は必須だと考えられま。また、事故が起きてしまった際には、無用に不利な状態を作り出してしまわないように、自分の状態を正確に説明し、理解していただけるだけの表出能力は必要であろうと考えられます。
 
一つの基準としては、MMSE(Mini-Mental State Examination)という簡易な認知検査において25/30点は必要であろうと言われております。
 
当施設では前述の理由もありますので、失語症を呈されている方の場合には注意機能などのその他の認知機能についても判定基準を高めに設定しており、MMSEだけでの判断ではなく、多方面からの評価を実施するようにしております。
2013年4月17日(水)
運転についてE

さて、運転動作において「脳」はどのような活動を示すのでしょうか?
 
運転をするための認知機能としては、@運転計画立案、A運転中の周囲への配慮、B運転技術の確認が必要となります。
 
以前紹介した『注意機能』『遂行機能』などがこれにあたりますね?
 
これらの機能に関しては、脳の前方、前頭葉と呼ばれる部分が重要な役割を果たしているといわれております。しかし、脳は様々なネットワークが相互に係わりあうことで構築されているため、損傷部位が前頭葉意外だからといって問題はないと断言することは出来ません。
 
しっかりと検査を行ったうえで、安心して運転することが可能になるのであれば、それに越したことはありませんね?

2013年4月10日(水)
運転についてD

運転の可否に関して、癲癇発作の有無は大きなウェイトを占めるものです。
 
特に、近年癲癇発作の方で大きな事故が立て続けに発生したのは、記憶に新しいかと思われます。
 
発作にはその症状によって軽症から重症にいたる場合があります。運転においてなぜここまで問題となっているのかというと、@発作は突然発生するものであるということ、A発作中意識を失う可能性があるということ、B意識を失わずともコントロール困難な身体の痙攣が起こる場合がある、ということが挙げられるのではないでしょうか?
 
もちろん、発作の既往があったとしても、充分コントロール出来ており、自動車の運転も可能であるとの、専門医からの診断があるのであれば、運転の再開も可能であるとは考えられます。
 しかし、それなしでの運転は「絶対に」控えるべきであると考えております。前にも言わせていただきましたが、運転は一人だけの問題ではありません。充分精査されることをお願いいたします。

2013年4月3日(水)
運転についてC

脳障害の中でも『高次脳機能障害』や『半盲』、また『癲癇発作』などの目には見えない症状が運転にとっては大きな問題となることをお伝えしました。
 
重度の障害であれば顕在化もしてきますが、日常のルーティーンの生活では問題のないレベルの障害である場合、一見その障害がわかりづらい場合もあります。
 
特に視空間認知に関する能力は、歩行などの基礎的な動作の際にはほとんど問題なく実施可能であったとしても、応用動作場面や緊急性が求められる場面においては反応が著しく低下する場合もあり、注意深く評価を行っておくことが勧められます。

2013年4月2日(火)
運転についてB

これほどシビアに運転について紹介をさせていただいているのは何故なのでしょうか?
 
実は、片麻痺になったとしても、運動機能障害のみが原因で運転が危険であるという結論に至ることは多くはありません。非麻痺側の機能が正常であれば、麻痺側が廃用手と呼ばれるような状態であっても運転は可能になる場合が多いようです。
 
脳障害で問題となるのはむしろ、このページでも何度か触れたことのある『高次脳機能障害』や『半盲』、また『癲癇発作』などの周りからは見えにくい症状なのです。
 
ですから、「できる!」と"過信"するのではなく、必ず主治医や医療関係者に相談を行ったうえで運転を再開されることを切に願っております。

2013年3月30日(土)
運転についてA

実際、現在の日本には認知症患者が約250万人ほど存在されているとされ、その内28万人程度の認知症ドライバーがいるのではないか?と推測されております。
 
病院側から本人へ中止を勧告しても本人の病識が乏しく意見を聞き入れられない事もあります。また、運転免許センターにて検査を行っても免許の更新に成功している場合もあります。
 
しかし、それでも事故は起こっているのです。
 
これは脳卒中の方でも気をつけなければならない問題です。認知症とは明らかに病態が異なるため、一概にまとめて考えることはもちろん出来ません。
 
しかし、当施設での経験上、明らかに高次脳機能障害が残存している方でも、免許の更新に成功し、当施設で中止を伝えているにもかかわらず運転を試みることもありました。
 
どれだけ厳密に評価を行っても事故は起こることかもしれません。ですが、十分評価を行い、問題点を把握し、出来るだけリスクを最小限にすることは、自動車を運転するのであれば最低限のマナーではないでしょうか?

2013年3月29日(金)
運転について@

今日は、問い合わせを受けることの多い『自動車運転』についての話です。
 
脳卒中を経験された方の自動車の運転の可否判断は近年さらに厳格化が求められています。それには、昨今の認知症や癲癇発作などが原因であると考えられる事故が頻発したことが理由の一つに上げられると考えられます。
 
確かに、自動車は楽しい人生をサポートしてくれる道具ですが、その一方で一歩間違えば重大な事故を引き起こす凶器にもなりうることを十分理解しておく必要があるのではないでしょうか?

2013年3月23日(土)
課題指向型アプローチB

前回も紹介しました『課題指向型アプローチ』ですが、一つ注意点があります。
 
それは、「難易度設定」です。
 
課題志向型アプローチにおいて目標とするのは能力面における改善のみならず、機能面における改善も目標に考えます。
 
つまり、その人の機能をもってして何とか可能である最大限の能力を発揮していただくことで、それまで出来ないと考えていたことが可能となり、最大限の能力で実施することでそれに対応する機能の改善を図ることが目標なのです。
 
イメージしやすい言い方にすると、陸上選手は練習の際に自身の限界まで何度も練習を重ねますね?そうすると、次第に筋力が増強し、動作も洗練されていきます。その結果、皆さんもご存知のとおり成績が向上していくわけです。
 
ですから、難易度が低すぎれば普段から出来ていることですので改善は困難ですが、逆に難易度が高すぎれば継続して実施することが出来なくなってしまうのでこれも改善は困難となってしまいます。そしてこの難易度は人によって様々ですので、適切な目標を立てていくことがやはり重要ですね?

2013年3月18日(月)
課題指向型アプローチA

この『課題志向型アプローチ』は、前回の更新では上肢に焦点を当てて紹介いたしましたが、実は様々な場面で基礎として考えていくべき考え方ではないでしょうか?
 
今までのリハビリの考え方でいけば、正確な動作を習得していくことに主眼を置かれておりました。しかし、臨床においては場合によって、それだけでは実際の生活に即さないという事態に遭遇することもあります。
 
これは、人間の生活様式が多種多様であり、リハビリ室と同様な環境を自宅に求めることは到底困難であるということにも起因すると考えられます。
 
そこで、実際の生活場面に出来るだけ即した環境や、さらに応用を含めた環境を用意することで、その環境に適応した能力を獲得していくことに主眼を置いたのがこの『課題志向型アプローチ』と考えることが出来るのではないでしょうか?
 
リハビリでは、実際の能力が向上していくことが求められます。そのためにはこういった考え方を基礎としていくことが必要ではないかと考えております。

2013年3月11日(月)
課題指向型アプローチ@

今回紹介させていただきますのは「課題指向型アプローチ」という考え方です。
 
課題指向型アプローチとは、問題解決がベースとなっている方法です。
 つまり、対象者に対してゴールと環境を設定し、その課題を解決していくことを通じて目的にあった脳機能の再構築を促すものです。
 
最も単純なものでは、動物で行われた研究があります。その研究では、脳卒中を人為的に起こしたサルに対し、「麻痺していない手を使えないように縛り付け、その状態で眼前に餌を置く」という環境を用意します。そして「麻痺した手を使えばご飯を食べることが出来る」というゴールを提示しました。
 そうすると、サルは次第に麻痺した手を使ってご飯を食べることが出来るようになりました。加えて、脳にも手が動きやすくなるように新たな回路が完成していたとのことです。
 
ただし、これは動物を用いた研究ですので、人間に対しても同じであるというわけにはいきません。まず求められる手の動きはさらに複雑なものが要求されますし、その方その方の人間性・特徴を踏まえたものでなければなりません。
 
すべての料理を手掴みというわけにはいきませんからね?
 
すなわち、対象者の状態を理解した上で最適な課題の内容であることが重要という考えかたなのです。

2013年3月6日(水)
半側空間無視G

今日は残りのアプローチについて紹介していきます。
まずは『補償的アプローチ』です。このアプローチでは、認識が困難な片側に対して、様々な装置を用いて刺激を入力することで、半強制的に認識促すよう補助を行う方法です。
 例えば、タイマーでバイブレーション及びブザーが作動する装置(ボタンを押せばいったん止まる)を認識困難な側に装着する方法です。これにより、タイマーにて定期的に半強制的に麻痺側への注意が促されるとともに、ボタン操作が求められることで意識していくことも求められるということで、さらに意識付けをしていくことが可能になります。

 もうひとつが『機能代償的アプローチ』です。今までのアプローチでは能力的な代償手段の獲得に主眼を置いておりましたが、このアプローチでは機能自体を代償していくことに着目しております。
 例えば「プリズム眼鏡」では、視野を麻痺側へシフトするような眼鏡を用いて訓練をすることで機能面のサポートを行います。
さらにはrTMSを用いた磁気刺激によるアプローチも検討されております。

 このように、半側空間無視へのアプローチは以前と比較して非常に多彩となっております。大事なことは、障害の特徴をしっかりと評価し、それに対応したアプローチを実施していくことですね?

2013年3月5日(火)
半側空間無視F

今日は『ADL志向的アプローチ』です。このアプローチは、認識の向きにくい片側になるべく認識を向けた状態を作り出した状態で日常生活動作(ADL)を反復実施していく中で、訓練場面だけではなく、実際の日常生活におけるミスを最小限にしていくことを目指すものです。

 例えば更衣動作(上半身)では、片麻痺の方では多くの場合麻痺側から袖に手を通していくことが求められます。つまり、自力で実施しようとすればいやがおうにも左側を認識せざるを得ない状態になってしまうというわけです。
 
この場合でも、しっかりと頚部を回旋し、自分の視覚で確認を行うことで成功率は格段に向上します。これも、今すぐにでも出来る方法の一つですね?

2013年3月4日(月)
半側空間無視E

今日は半側空間無視に対するアプローチについて紹介していきます。
 
まずは、『対症的アプローチ』です。「対症的」とは、その症状にあわせた対応を実施するということになります。半側空間無視でいえば、認識の向きにくい片側になるべく認識を向けていくことがそれにあたると考えられます。
 
もっともポピュラーなアプローチの一つとして間違い探しや模写、なぞり書き等があげられます。出来るだけ左側への注意を促すことによって、症状を緩和させていこう、という考え方ですね?
 
半側空間無視を呈した方では、認識困難なスペースが出来てしまうため、認識できる空間が狭小化してしまいます。ですので、例えば左半側空間無視の方であれば「左側に注意してください」といっても認識できる空間においての左側の探索で終了してしまう可能性があります。
 
そこで、頚部を左に回旋(しっかりと顔ごと左を向くこと)をしていただくだけでも、改善が認められる場合があります。これであれば、自宅でも、今すぐにでも出来る方法ですね?

2013年3月2日(土)
半側空間無視D
半側空間無視を呈した場合、片方の空間の認識が困難となってしまうということはご理解いただけたかと思います。
 
それでは、本症状に対するアプローチ方法にはどのようなものがあるのでしょうか?以下に大まかな方策をあげておきます。

 @対症的アプローチ;単純に左側への認識を喚起する方法
 AADL志向的アプローチ;生活の中で左側の認識が必要な行為を取り入れていく方法
 B補償的アプローチ;外部から左側へ刺激を入れることで認識を喚起する方法
 C機能代償的アプローチ;外部からの指示ではなく、左側への認識を高めた状態を作り出していく方法
 
と、様々なアプローチ方法が提案されております。
2013年2月26日(火)
半側空間無視C
では、半側空間無視ではどのように見えるのでしょうか?
 絵をかいてもらうと、その特徴的な姿がよくみられるようになります。
 
添付の写真がその一例となりますが、この絵は上の絵をそのまま下の空間に模写して頂く検査となっております。一目見て頂ければ左側に花びらが書かれていないということがお分かり頂けるかと思います。また、花びらの数に関しても下の絵では不足しているようですね?
 
何度か確認を促した状態でも、本人は「全て完全に描けました」と言われておりました。
 
絵を描く際に一般的には、パーツの数だけではなく、位置・バランスといった空間的な情報を基にして構成を行ていきます。しかし、半側空間無視を呈している方では、半側の空間の認識が不完全にしか行うことが困難となってしまうため、とても狭い空間でしか認識することが出来なくなってしまいます。
 
ですので、この絵のような現象が起こってしまう原因は「見えない」ということよりもむしろ『認識が出来ない』ということに問題があると考えられております。
2013年2月23日(土)
半側空間無視B

半側空間無視と似たような症状を呈すものとして『半盲』というものがあります。

 特に同名性半盲では、両目の同じ側の視野が欠損してしまい、片側の空間が見えにくくなる状態になります。これも脳卒中などが原因となっておこることの多い障害です。

 両者は似たように見える障害ですが、大きな違いがあります。それは、半盲では片側の空間が『視認困難』であることに対して、半側空間無視では片側が『認識困難』だということです。

 簡単に言うと、前者では片側が"見えないと感じ”ますが、後者(半側空間無視)では「見えていないことも認識困難」になります。したがって半側空間無視の方では不自由感を訴えられない事も多い状態となっています。そのため、問題点が自身で納得できずアプローチを進めることが困難な場合もあります。

 また、脳に広範な損傷を受けた場合、両者が合併することもありますので、さらに注意を要する状態となります。

 まずは、自分の状態をしっかりを把握し、納得をして対応していく事がこういった障害への対応を進めていく上で最も重要なことになりますね?

2013年2月16日(土)
半側空間無視A

通常脳卒中では、「左右のどちらに麻痺があるのか?」つまり、「どちらの脳に損傷があるのか?」ということで、特徴的に頻発する高次脳機能障害があると言われております。
 
一般には右片麻痺(左脳損傷)では失語症が出やすいと言われており、逆に左片麻痺(右脳損傷)では今回紹介している左半側空間無視が生じやすいとも言われております。
 
見た目の上や話をしているだけでは気づきにくい場合もありますが、実際に検査を実施してみると不自然に左側に限局した見落としを生じる場合があります。
 
ベッド上では大きな問題が生じることは少ないかもしれませんが、屋外歩行時 等、より周囲に注意を払う必要がある場合には大きなリスクとして現れる場合が多々あります。

 
転倒などの事故が起こる前にリスクファクターを一つでも回避するための評価は重要ですね!

2013年2月15日(金)
半側空間無視@

今回からは高次脳機能障害の一つ、『半側空間無視』について紹介して参ります。
 
この「半側空間無視」は基本的には左右のどちら側にも起こりうるものですが、"右側”半側空間無視は時間経過と共に消失する場合が多いため、臨床的には左側半側空間無視の方が大多数です。そこで、ここでは便宜上左半側空間無視について説明して参ります。
 
左側半側空間無視は日常生活ではどのような姿で現れるのでしょうか?臨床症状としては次のような姿が散見されます。
 
 @食事の際、左側のおかずを食べ残してしまう
  A左側の整容が不完全(左側に集中した髭のそり残しなど)
  B左側の障害物に気づかずぶつかってしまい、時には転倒してしまう
 
このように、日常生活において多くのミスやリスクの原因となる障害です。特に自立を望まれる方であれば、早めのアプローチを心がけたいものですね。

2013年2月13日(水)
遂行機能障害E

さて、高次脳機能障害の一つ『遂行機能障害』について紹介して参りました。
 
お気づきかもしれませんが、遂行機能とは自ら行動を起こそうとする自発的な行為と密接にかかわる機能です。
 
脳卒中のリハビリでは、自分でできることを出来る限り増やしていく事が目標になりますので、特に重要な機能の一つになっています。
 
身体機能は改善しているはずなのに、出来ることが増えない・・・そんな場合はもしかしたらやる気がないのではなく、やり方が分からない状況なのかもしれません。
 
やはり、しっかりと評価を行っていく事が重要ですね!

2013年2月8日(金)
遂行機能障害D

「効果的行動(自己監視)」
 
実際に効果的な行動を実施するためには、自身の行動を目標と照らし合わせ、現在実施している行動について「計画から逸脱してはいないか?」また、「軌道修正を行う必要性はないのか?」といった自己監視(self-monitoring)を行う必要があります。
 
当初立てた『目標』、そしてそこに行きつくための『計画』、加えて適切な『実行』がすべて揃っていたとしても、刻々と環境・状況の変化し続ける実生活の中では、順応・適応・最適化をし続けなければなりません。
 山道でも晴ばかりでなく雨・雪・風など環境が変化していく中で、ずっと晴用の軽装でいては危険ですね?
 
実生活でいえば、計画通りの行動は可能であるものの、一部変更が加わった場合にそれに適切に適応していく事が困難といった形で問題が生じる場合が多いようです。
 
アプローチとしては、一つとしては行動終了後に問題がなかったかどうかをしっかり確認するということがあげられます。また、状況変化が生じた場合に再度計画を作り上げることが出来るようにサポートしていく事も重要であると考えられます。

2013年2月2日(土)
遂行機能C
「計画実行」

 計画を実行する為には、一連の行動を適切に遂行していく必要があります。ここ言う『適切』とは、「計画に基づいて」「順序良く」、各行為を同時進行したり維持したり、時には中断や変換を行うといった複雑な動作を計画通りに遂行することに当たります。
 
前回の例になぞらえて説明すると、せっかく山道が整備された山でもその道を通らなければ、計画がないのと同様に山頂にたどり着くことは困難ですし、もし仮に山頂にたどり着いたとしても距離・時間・安全性の面から見ると大きな問題があるのではないでしょうか?

 実生活でいえば、せっかく計画を立てたにもかかわらず、それをしっかり把握して行動に移すといった面で困難が生じる場合が多いようです。

 アプローチとしては、例えば計画を紙に書き出し、その情報をもとに一つずつ確認しつつ実施していく事、つまり代償手段を積極的に使用していくことがが重要であると考えられます。
2013年2月1日(金)
遂行機能B

「計画立案」
 
計画を立てる為には、目標を遂行する為に必要な方法・手段を考え出し、その手段が適切であるかどうかを評価・選択して行くことが求められます。行動を導くための道筋を立てていくことが必要となってきます。
 
この道筋がしっかりとしていなければ、まるで道のない山を登っているようなもので、最短距離で登頂する事は困難でしょうし、危険な道を選んでしまう事があるかもしれません。最悪遭難してしまうということも考えられます。
 
実生活でいえば、ある行為を行なう時に明らかに困難な方法で実施しようとしたり、時にはどうやっていいのか分からず手を止めてしまうと言った形で表れるようです。
 
アプローチとしては、まずは料理における『レシピ』や機械における『説明書』のように、最適な方法・手段を確認しつつ実施することで、ミスを最小限にした状態で行動していく事が重要であると考えられます。

2013年1月30日(水)
遂行機能A

「目標設定」
 
目標を設定する為には、まず『なぜ』『なにを』するのか?という動機付けや意図が必要となってきます。
 
この目標が設定できなければ、当然のことながら行動は始まる事が出来ません。また、誤った目標を設定した場合においては、行動を開始する事は出来るかもしれませんが、本来の目的を達成する事は出来ませんね?
 
これは、行為の基盤・起点となるものであり、その他の障害との関係性も十分考慮にいれる必要はありますが、一般的にはTPOにそぐわない行為を行なうといった形で現れる事があるようです。
 
アプローチとしては、設定した目標についてチェックを実施することで、誤った行為を開始させないということが重要であると考えられます。

2013年1月26日(土)
遂行機能@

今日は『遂行機能障害』について紹介して行きます。
 
まず、遂行機能とは・・・
 「目的をもった一連の活動を有効に成し遂げる為に必要な機能であり、目標を設定し、計画を立て、効果的に行動するという一連の認知・行動機能の総称である」といわれております。
 
一般には以下の様に分類されています。
  @目標設定
  A計画立案
  B計画実行
  C効果的行動(自己監視)
 
これらのどの段階で問題が生じているのかを検討する事は、アプローチを決定する要因となり、問題解決の第一歩となります。何事もしっかりと評価をしていくことが重要ですね!

2013年1月25日(金)
注意機能E

これまで説明してきました通り、注意機能というものは様々な行動の中で基盤として働く機能だという事がおわかりいただけたかと思います。
 
その他にも、「集中せず落ち着きがない」「脱抑制的である」「自発性に乏しい」「言葉が一度で理解できない」といったように、注意機能障害を呈した場合、認知・思考・行為・言語・記憶 等に問題が生じる場合もあり、その症状は多種多様なものとなっています。
 
そういう意味では、注意障害は高次脳機能障害の中でも最も多くみられるものの一つであると考える事が出来るかもしれません。
 
しかし、場合によっては『ただだらけているだけ』『本人にやる気がない』といったように誤解されることも多いようです。
 
大切なことは、適切な評価を実施し、適切なアプローチをもって接していく事ではないでしょうか?

2013年1月23日(水)
注意障害D

持続性の注意障害ではどのような点で問題が生じるのでしょうか?
 
持続性注意障害では、一定時間以上刺激や情報に対して反応し続けることが困難になります。
 
ある行動を実施する際には、それを遂行し終えるまでは注意を向け続ける必要があります。
 例えば、テレビを見ていてもそれに集中する事が出来ずないので見る事を辞めてしまう、もしくは内容を把握する事が困難になります。
 日常生活では『集中が出来ず、作業が続かない、話が断片的になる』という形で表れる事が多いようです。
 
このような障害へのアプローチとしても、外界からの刺激の量を調節し、実施する内容についてはその難易度を調整することで行動は行いやすくなります。
 
注意という機能は行動を行なう根幹の部分になる為、それぞれに様々な特徴はあるものの、基本方針としては「集中しやすい環境から徐々に刺激量を増やしていく」ということに尽きるようです。

2013年1月21日(月)
注意障害C

転換性の注意障害ではどのような点で問題が生じるのでしょうか?
 
転換性注意障害では、異なった刺激や情報に対して注意を柔軟に振り分ける事が困難になります。
 
ある行動を実施している際に新たな情報が提示され、それが重要な用件であれば、そちらに注意を移さなければならない場合があります。
 例えば、テレビを見ているときに、テレビに集中しすぎていれば、電話が鳴っていても気付く事が出来ません。
 日常生活では『事柄の重要度に応じた、行動の取捨選択が困難』という形で表れる事が多いようです。
 
このような障害へのアプローチとしては、重要だと考えられる事柄に注意を向けやすいように刺激の強度を調整して行くことが重要です。
 上の例であれば、テレビの音量は少し小さめに、電話の音量を大きめに設定(可能であればランプなどの使用もいいですね)していくといった環境調整も有効な手段の一つだと考えられます。

2013年1月14日(月)
注意障害B

配分性の注意障害ではどのような点で問題が生じるのでしょうか?
 
配分性注意障害では、複数の刺激・情報に同時に注意を配ることのできない状態です。注意の容量の問題ともとらえる事が可能かと思われます。
 
ある行動を起こそうとする場合、複数の出来ごとに同時に注意を傾ける必要がある場合があります。
 例えば、運転中にはハンドル操作に注意を傾けるのはもちろんのこと周囲の状況にも注意しなくては事故の原因となってしまいますね?
 日常生活では『同時進行しないといけない事がらの中のいくつかがおろそかになってしまう』という形で表れる事が多いようです。
 
このような障害へのアプローチとしては、同時進行で実施する数を調整して行くことが重要です。
 調理等であれば、フライパンと鍋を同時進行させるといった事をせず、一つずつ確実に実施して行くことをお勧めしています。

2013年1月12日(土)
注意障害A

選択性の注意障害ではどのような点で問題が生じるのでしょうか?
 
選択性注意障害では、多くの刺激・情報の中から特定の刺激を選択できない状態となります。
 
行動を起こそうとする場合、その行動の重要度を上げ、周りの状況はある程度重要度を下げることが求められます。
 例えば「鍵をかける」という行動の場合、鍵穴と鍵の位置関係に注意の重要度をあげるべきであり、周囲の雑音や気温等にいちいち気を取られていては適切な行動がとれなくなります。
 日常生活では、『一つの事を行なう最中に雑談などが頻繁に入る為、行動がなかなか完了しない』という形で表れる事が多いようです。
 
このような障害へのアプローチとしては、選択肢のコントロールが最も単純で効果的であると考えられます。
 つまり、雑音に気を取られやすいのであれば、雑音を出来るだけ除いた状態から始め、徐々に増やしていくという形で少しずつ環境を整えていくと良いのではないでしょうか?
 焦ってもすぐに良くはなりませんが、根気強くアプローチを重ねていく事が重要ですね!

2013年1月11日(金)
注意障害@

前回、失語症について触れましたので、高次脳機能障害について触れていきたいと思います。
 
本日紹介するのは『注意障害』についてです。
 
注意障害はその特徴から様々な分類がなされています。古典的なものとしては、@選択性注意、A配分性注意、B転換性注意、C持続性注意という分け方があります。
 @選択性;多くの中から一つを選びだす
 A配分性;いくつかの事を同時進行で行なう
 B転換性;一つの事から他の事へと切り替えを行なう
 C持続性;一つの事に集中し続ける
 
簡単に上げてもこれだけの分け方がありますので、ひとえに注意障害といってもアプローチは単一ではなく、個々のレベルにあったものを選択して行くと良いですね!

2013年1月10日(木)
失語症CI療法

さて、これまで当施設で行ったいくつかの研究を紹介させていただきました。
 
ポイントはやはり、脳卒中によって困難となった事でも積極的に使用することで改善が見込まれる、ということだと思われます。
 
では、その改善効果は身体機能面のみなのでしょうか?
 
ある研究によると、脳卒中後遺症として「失語症」を呈した患者様で、"ジェスチャー等の代償手段を一切用いない"言語訓練を実施したところ、理解面・表出面共に著名な改善が認められたとの事です。
 
そうです、これは失語症に対するCI療法なんです。
 
ニューロリハは『脳』にアプローチしていくリハビリなので、こうした認知機能へも効果が認められたのではないでしょうか?

2013年1月9日(水)
当施設での取り組みB

今日も当施設で行っている治療の一つについて紹介します。
 
『脳卒中片麻痺上肢に対する反復的交互回転運動』

脳卒中によって片麻痺を呈した方が、日常生活の中でその手を使いづらい理由の一つには「肘・肩の動作が拙劣である為補助手としても使用が困難」であるという事が考えられます。
 また、近年ニューロリハの研究において、"ミラーニューロン"に対するアプローチによって、身体機能だけではなく脳機能への変化も確認されるようになっております。
 そのアプローチというのがイメージ療法やVR(ヴァーチャルリアリティ)・ロボットなどを用いたアプローチ、そして今回用いた両手動作等です。
 
そこで当施設では、上肢による交互回転運動をリハビリに取り入れていくことで上肢機能の改善を図っております。
 
現在の結果としては、上肢の痙性が低下し、上肢機能に改善が認められました。特に、肘・肩の動作が改善されたことにより補助手として日常生活での使用量に改善が認められております。
 
麻痺側上肢は普段から使用の機会が与えられていない状況が多くあります。いくら訓練場面だけで練習しても、その改善が日常生活で活用されなければ、十分な成果とは言いづらい状況かと思われます。
 
今後も、日常生活に活きるリハビリを心がけて努力していきたいと思います!

2013年1月8日(火)
当施設での取り組みA

今日は昨日に引き続き、当施設で実施している治療について紹介します。
 
『慢性期片麻痺患者に対するHybrid CI療法』
 
慢性期片麻痺上肢に対するCI療法については、その効果は様々な研究で明らかとなっています。しかし、重度な麻痺(自分の意思でなんとか筋肉を動かす事が出来る程度)を有する場合、巧緻動作が困難であることからCI療法等のアプローチは困難であると言われております。そこで当施設では、麻痺側上肢の積極的使用に加え、Functional electrical stimulation(FES)やMPBを併用した治療を実施しております。
 
現在の結果としては、数年間経過を追っていく中で、痙性は低下傾向を示しており、上肢機能は改善し、日常生活における使用量も増加していることが分かりました。
 
今まで見落とされてきた重度片麻痺上肢においても回復が可能であったということで、これまで以上に様々な方にリハビリの幅を広げていくことが可能になると考えております。

今後も、出来るだけ多くの方の回復の一助となれるよう、努力を続けていきたいと思います。

2013年1月7日(月)
当施設での取り組み@

今日は当施設で実施している治療について紹介して参ります。
 
まずは・・・『Motor point block(MPB)前処置としてのTranscutanius electrical nerve stimulation(TENS)』です。
 
これは併設の診療所がメインとなって行っているものです。
 ちなみに、MPBは以前紹介したボトックスと似た効果のある、痙縮を抑制する治療です。TENSは疼痛を抑制する効果のある電気刺激療法のことです。
 
一般的にMPBを実施する際には疼痛を伴う場合があります(ここがボトックスとの違いの一つですね)。そこでTENSによる鎮痛前処置を実施することで、快適な治療を実施して頂く事を目的に実施しております。
 
現在の結果としては、MPB実施時の疼痛は「激しく痛む〜痛む」という訴えから「痛みなし〜多少の痛みあり」といったように全例において高い鎮痛効果が認められます。
 
本介入によって「効果の高い治療を、疼痛などのマイナスファクターを最小限に実施」できたため、機能面の改善だけでなく患者様の満足度も向上させる事が可能になりました。今後も、患者様に喜んで頂けるような治療を提供して行きたいと考えております!

2013年1月5日(土)
今年の目標
「出来ない」と"思っている"事は、『本当に出来ないこと』なのでしょうか?
 
日頃ニューロリハビリの一環として、上肢のリハビリに取り組んでいると、『出来るけどしていない』という現実を目にすることが多くあります。
 
そんなときによくお話をさせて頂くのですが、「出来るけどしないのであれば、何のために出来るようにするのですか?」と質問させていただきます。多くの場合、この質問に答える事の出来る方はいません。
 
・・・もしかすると年始から酷な事を言っているのかもしれませんが、実はこのことはリハビリに取り組む場合重要なファクターになっています。
 
人はモチベーションなしには努力は困難です。特にその目標は機能的な事よりもより日常に即したものであればなお良いと考えております。
 
先ほどの質問の後、私たちはこんな声かけを送ります。
 「出来るようになった事を活用できるような、そんな目標を見つけていきましょう」
 
さて、1年も始まったばかりです、皆さんもそんな目標に向かって進んでいきませんか?
2013年1月4日(金)
新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。
 
皆様には、さわやかな新春をお迎えのことと心からお慶び申し上げます。また、昨年中、当施設に賜りました数々のご厚情とご支援に対しまして、職員一同心より御礼申し上げます。
 
本年も脳神経のリハビリテーションに特化したデイケアとして、昨年にもよりもさらに多くの方々の改善の一助となり、皆様の笑顔に寄り添って生きたいと決意を新たにしております。
 
患者さまや関係各所の皆様方からのご意見を真摯に受け止めて、全職員が良質なサービスを提供できるように努力していきますので、今年一年、さらなるご指導、ご鞭漣をよろしくお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
























2012年12月29日(土)
本年もありがとうございました。

当施設では、地域で脳卒中の後遺症で悩まれている方を中心に、リハビリテーションか専門医である院長の下、専門的なリハビリを提供することで、皆様の一助となるべく尽力してまいりました。

昨年までは1台で行っていたFES(IVES)を用いた、上肢機能再建訓練も功を奏し、多くの方から喜びのお声を頂いたのがなによりの支えとなっております。

福山医学祭では、当施設の発表の一つが優秀賞をいただくことも出来、大変幸せに思っております。

平成25年も、本年にまして、ますます地域の皆様の健康に貢献できるよう、専門的リハビリテーションを充実させて、より良い医療・介護を提供できるように頑張って行きます。

どうぞご期待下さい。

明日12月30日から新年1月3日までは、お休みとさせて頂きます。

この1年間のご支援にお礼申し上げますとともに、平成25年が皆様にとりましても実り多い1年となりますよう祈念しております。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

2012年12月26日(水)
拘縮予防A

今日はもう一つの拘縮予防法、方法Aの具体例を紹介して行きます。
 
方法Aとは、拘縮が出来てしまう原因である、「筋肉が動きづらくなってしまっていることの原因」の一つの痙縮を改善させていくことです。
 
以下に少しですが具体例をあげておきます。
  1.末梢部に対する痙縮抑制治療;
   ボトックスやモーターポイントブロック等によって、実質的に筋肉の緊張をコントロールするアプローチ
  2.中枢部に対する痙縮抑制治療;
   rTMSやtDCS等によって、脳の働きをコントロールし、結果として筋肉の緊張をコントロールするアプローチ
  3.脳の再学習・再構成
   ニューロリハビリテーションによって、筋肉を動かしやすくするように脳を変化させていくアプローチ
 
このように様々な方法がありますが、どれか一つだけで十分というわけではなく、上手に組み合わせていくことがお勧めです!

2012年12月25日(火)
拘縮予防@

では、前回紹介した予防法のうち、方法@の具体例を紹介して行きます。

この治療法は比較的シンプルなもので、装具を用いたものが一般的です。この装具については長期ではないものの、即時的に痙縮を抑制する効果もあると言われております。

中には「普段から自分で指を伸ばすようにしているから装具なんか使わなくても大丈夫!」と、しっかり実践されている方もいらっしゃいます。

でも、考えてみると、124時間のうち6時間程度は皆さん睡眠をとられるわけですから、1/4日を変形しやすい状況においているということになります。夜間寝ている間は意識的に伸張を加える事は困難ですよね?

こうした装具はnight splint(夜間用装具)と呼ばれております。慣れれば自力での装着も可能になりますので、日々の拘縮予防として活用して頂ければと思います。

2012年12月13日(木)
拘縮予防

さて、拘縮の治療が困難なものであるという事は理解して頂いたかと思いますが、そこで重要な拘縮の予防方法について紹介していきたいと思います。
ここで何度も言ってきました通り、拘縮を作ってしまう一番の原因は『動かさない事』です。乱暴に言ってしまうと、長年使わなければバネも錆びてしまい使えなくなってしまうように、筋肉に関しても動作が制限されるようになってしまします。逆にいえば、しっかりと動かしていくことが拘縮予防の第一歩となるわけですね?以下にその方法をあげておきます。

方法@普段縮んだままの筋肉をしっかり伸張してあげることで、出来る限り筋肉が短縮しないような状況を作るという事。
方法A筋肉が縮んだままになる原因の一つである痙縮を改善して、筋肉が縮んだままになるような環境をつくらないようにする事。

大きくわけるとこのような対応が考えられます。方法@に関しては比較的早期から実施可能ですね?方法Aに関しては適切なリハビリを進めて行けば徐々に改善して行きますが時間はかかります。
どちらにしても、今からでも出来る事はあるかと思いますので、皆で予防を行なっていきましょう!

2012年12月12日(水)
拘縮治療

では、拘縮の治療法にはどのようなものがあるのでしょうか?

一般的にはゆっくりと持続的な伸張を加え続けることで、筋の伸展性を高めていく事が行なわれます。しかし、こうした治療も拘縮が進行してしまった状態ですと効果は出づらく、重度の場合手術が選択される事もあります。

出来れば、そのような事態にはなって頂きたくありません。今現在、拘縮がない方はもちろん、もうすでに拘縮を有する方は出来るだけ悪化を防ぐ『予防策』を講じていきましょう!

2012年12月11日(火)
拘縮と痙縮

拘縮と痙縮とはどう違うのでしょうか?

まず、脳卒中における拘縮とは、運動性の低下により筋肉の柔軟性が低下した状態で可動域制限の原因となるものという事を理解して頂きたいと思います。

また、痙縮とは、筋のコントロールが困難となることで、一部の筋が過活動(力が入りすぎる)状態になることで、動作自体も困難となる状態です。

つまり、拘縮痙縮なわけです。同じ「手が握りこんだ」「肘が曲がった」「つま先が上がらない」状態であっても、片方は筋肉が動かない状態でもう一方は力が入っている状態なのです。

痙縮""の要因によって拘縮という結果が訪れるわけです。拘縮は脳卒中になれば必ずなるものではありません!自分の障害を増やさない為には、しっかりと予防を心がけていきましょうね。

2012年12月10日(月)
拘縮とは

このサイトでは何度となく「拘縮を予防していきましょう」と話してきました。病院などでもこの『拘縮』というキーワードを聞いた事があるかもしれませんが、これはいったいどのようなものなのでしょうか?

拘縮・・・脳卒中後の麻痺や痙縮及び筋肉の萎縮等の原因により引き起こされる関節の可動域制限。いずれの場合も、放置すると二次的な変化として線維および骨による癒着がおこり、改善が困難な状態となるので注意を要する。

つまり、拘縮とは脳卒中発症の段階では存在しない障害なのです。発症後から現在に至るまでの治療の結果が"グーになってしまった手""そうでない手"を分けているのです。
さらに、拘縮をほっとくと、強直という残念ながら元には戻らない状態にまでなってしまいます。
そうなってしまっては遅いのです!

大事なことは、適切な治療に一刻も早く取り組んでいく事です。
拘縮改善という目標が無くなる=初めから拘縮がつくられない(予防されている)状態がベストだとは思いませんか
?

2012年12月7日(金)
リハビリにおける目標

「出来ない」と"思っている"事は、本当に"出来ない"ことなのでしょうか?

日頃ニューロリハビリの一環として、上肢のリハビリに取り組んでいると、『出来るけどしていない』という現実を目にすることが多くあります。

そんなときによくお話をさせて頂くのですが、「出来るけどしないのであれば、何のために出来るようにするのですか?」と質問させていただきます。多くの場合、この質問に答える事の出来る方はいません。

・・・もしかすると酷な事を言っているのかもしれませんが、実はこのことはリハビリに取り組む場合重要なファクターになっています。

人はモチベーションなしには努力は困難です。特にその目標は機能的な事よりもより日常に即したものであればなお良いと考えております。

先ほどの質問の後、私たちはこんな声かけを送ります。「出来るようになった事を活用できるような、そんな目標を見つけていきましょう」
皆さんもそんな目標に向かって進んでいきませんか?

2012年12月6日(木)
嚥下スクリーニング検査

昨日紹介させていただきました嚥下内視鏡検査は大変有効な検査ではありますが、詳細な検査が実施可能な施設はあまり多くはありません。

そこで、簡易なスクリーニング検査で、尚且つ不顕性誤嚥の可能性の検出精度の高いものが求められております。その一つが当施設でも実施している『クエン酸咳テスト』です。


この検査は、反復嚥下テストや改訂水のみテスト、食物テストで見落とされやすいムセのない誤嚥、いわゆる不顕性誤嚥を評価する上で、優れた評価法とされています。方法としては、1.0重量/%のクエン酸水溶液を超音波ネブライザーで1分間吸入させて、誘発された咳の回数で非顕在性誤嚥のリスクを評価します。

クエン酸という刺激物が喉を刺激した際に反応があるかどうか?
つまりは、誤嚥が発生した場合に防御反応が発動するか否かをみる検査になります。


誤嚥性肺炎の場合、安静を強いられることも多く、体力低下の原因となりますので、出来る限り予防して行く事は私たちの使命だと考えております。

2012年12月5日(水)
嚥下内視鏡検査

前回紹介した検査方法のうち当院で実施しているものを紹介していきたいと思います。

まずは『嚥下内視鏡検査』です。この検査では、専門医が直径3mm程度の非常に細いファイバースコープを用いて、胃カメラの様に喉(のど)の状態を観察・撮影を実施します。その際、実際に経口摂取したい"食物そのもの"を食べて頂き、その様子を評価していきます。

この検査の利点としては、カラーでの観察となりますので喉の状態が詳細に観察できます。また、実際に食べたい食事で検査できますので、検査結果が日常生活へ反映させやすいのも利点の一つですね。当施設では行なってはいませんが、比較的小型・軽量のため、自宅や施設などへ持ち運んでの検査も可能なようです。

ある研究では、検査前後で「経口摂取が可能にもかかわらず制限されている」例や「経口摂取は控えるべきにもかかわらず実施してしまっている」例など、実際の機能とかけ離れている場合も多いと言われています。

適切な検査を行ない、安全な食生活を営んでいきましょう。

2012年12月3日(月)
嚥下障害の検査方法

昨日の続きで、今日も嚥下(飲み込み)についての話題です。

前回も触れたとおり、脳卒中では、急性期には嚥下障害を70%程度の例で認めるとされています。そこで誤嚥を防ぐ目的で様々な検査を行なう必要があります。
スクリーニング法としては、嚥下状態についてチェックシートを用いたり、嚥下状態を外部から確認(ムセの有無や声の変化)を実施します。ただし、スクリーニング検査における誤嚥検出にも限界があり、リスク例にはより詳細な評価が必要になります。

例えば…嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査な...どがそれに当たり、有効な検査法であるとされております。当施設の併設医療機関でも実施している嚥下内視鏡検査では、より偽陰性(問題ないと間違われる事)が少ないとされています。

嚥下検査の結果に基づき食事の摂取方法や代償手段の検討を行なうことは、肺炎や脱水・栄養障害を減少させることに有効であると言われております。しっかりアプローチを実施して、楽しくて安全な食生活を送っていきましょう!

2012年12月3日(月)
嚥下障害について
今日は、手足の事から少し離れて、嚥下についての話題です。

食事というものは、人間の欲求の中でも大きなウェイトを占める行動ですが、実は脳卒中を患われた方では、その発生率が意外と高い事をご存知でしょうか(ただし、多くの方は一時的なもので、自然回復します)?

分母が大きいという事は、その中で程度の差こそあれ後遺症状が残存される方も少なくないという事にはなるのですが、嚥下というものは外から見ただけでは分かりづらいものですので評価が困難です。突如肺炎が発生して誤嚥に気づく・・・なんて事もあるようです。

嚥下の評価において、最も危険な事は『食べているから大丈夫』という考えです。誤嚥性肺炎が起こる可能性が一番高いのは、ムセ等の起こらない不顕性誤嚥(silent aspiration)なのですから。

怖い事を言ってしまいましたが、現在では様々な評価方法・検査方法も普及してきておりますし、リハビリも様々な方法があります。楽しい食生活を満喫する為にも、是非、皆様お気を付けください。
2012年12月1日(土)
痙性コントロール

今日は痙性のコントロール方法の話題です。

痙性のコントロール自体はリハビリの世界では古典的な方法として存在していましたが、最近その名前が知られたのはやはり「ボツリヌス毒素(ボトックス)」が成人の脳卒中片麻痺の痙性に対しても適用になった事、そしてTVを通じてその効果が広く紹介されたことにあると思います。

根本的な方策としては、過剰に力の入る筋肉に対し、その働きを減弱させるような処置を施すもので、軽い麻痺状態を発生させます。
ですから、力の入りすぎている部分では力の抜けたような状態となりますが、逆にいうと力は入りにくい状態となるとも言えます。

ただし、残念ながらこの治療を行なっただけでは持続的に十分な効果が出ません。なぜなら、多くの場合一時的な麻痺状態を作るだけですので、一定期間を過ぎると効果は薄れてしまうからです。

そこで、最大限の効果を発揮する為には、本治療を実施した後、伸張訓練を徹底することや動きやすくなった部分を積極的に使用して行くといったリハビリに"さらに"力を入れていくことが重要となっております。

2012年11月30日(金)
痙性について

今日は痙性についての話題です。

脳卒中によって片麻痺になった場合、筋肉に過剰な力が入ってしまい、自分の意志ではコントロールが困難になってしまう場合があり、これを「痙性が高い状態」といいます。

この状態では、(無意識に)力んだまま動作を行なうとするのと同じ状態ですので、様々な動作が困難となってしまいます。
また、動作の乏しい状態が持続してしまうと、『拘縮』という関節自体が柔軟性を失い、動作が困難な状態へ移行してしまいます。

そこでリハビリの世界では、リハビリを推し進めていくのと同時に、この痙性をなんとかしてコントロールする為に様々な試行錯誤を行なうのです。

2012年11月28日(水)
リハビリへの取り組み方

私たちは介護保険を用いてのリハビリを実施しており、様々な利用者様の話を伺わせていただいております。そんな中で、リハビリへの意欲はあるものの、実生活への般化が困難な方もいらっしゃいます。
例えば…「施設でのアプローチは一通り行なうが、家ではしない」「出来る事が増えても、しない」「リハビリとしての散歩はするが、遊びには行かない...」といった調子です。

『なぜこのような事になるのか?』を考えた時、私はその利用者様と積極的に話し合いの場を持たせていただきます。そして、これらの事象を引き起こす考え方の根源として最も多く聞かれるのは「リハビリをしないと不安だからリハビリをしている」という言葉でした。そこで、私はこう聞くことにしています。「では、リハビリをして何に活かしていきたいですか?」
そうすると大概の人は答えに躓いてしまうのです。

これはリハビリに携わる方の多くがはまってしまう考え方だと思います。
しかし、この考え方は「目的の為の手段」ではなく、『手段が目的』となってしまっているとは思いませんか?

私もリハビリに携わる者として、本質を違えぬよう、その人の生活に役立てるような、そんな支えになりたいと考えております。

2012年11月27日(火)
リハビリ実施時間

今日はリハビリを実施する時間に関しての話題です。

皆さん、リハビリは一日何時間ぐらい行なわれておりますか?
近年リハビリの世界では積極的なリハビリを長時間実施する事が勧められておりますが、実際場面では短時間でのリハビリを行なう場合が多いようです。

ある文献では1日3時間程度のリハビリで効率よく、その効果を発揮したとの報告もあります。

私たちは、特にニューロリハを行なっている立場からすると、出来るだけ質の良いアプローチを出来るだけ多く行なって頂く事が、皆様の改善の助けになると考えております!皆様はいかがですか?

2012年11月26日(月)
福山医学祭

昨日、平成24年11月25日(日)、福山市の医師会館にて第19回福山市医学祭が開催されました。この医学祭とは、福山市の医療に携わる各病院・診療所・介護事業所等がその成果を発表する場となっております。

ここで、当施設では3つの演題を発表し、その一つが優秀賞を頂く事が出来ました。日頃の成果とこの日の為の努力が実ったということはうれしい限りです。今後もますます努力を重ねてまいりますので、これからもよろしくお願い申し上げます!

2012年11月24日(土)
上肢装具(static splint)について

前回触れた『装具』、足の話はあったが"手の装具"はどうなんだ?とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんね?

実は、よく見かける「固定式の装具を着用するだけで痙性が改善するのか?」という点には賛否があるようです。ただし、手が握ったままの状態になることで引き起こされる拘縮予防の一助となりうる事は想像しやすいのではないでしょうか?

...つまり、「通常の固定用装具は治療というよりも悪化防止の側面が強い」と言う事が言えるのだと思います。

ですから、普段から指が開きにくい方は、手の屈曲変形を予防する意味で、少なくとも夜間用装具だけでも作成・着用される事を相談されてはいかがでしょうか?

2012年11月23日(金)
下肢装具の効果

前回の更新では、歩行について触れました。今回は、その中で触れた『装具』についての話をしていきます。

装具の歴史はかなり古く、エジプトで発見されています。そんな装具もリハビリの世界では、一時筋力が弱る・・・といった悪影響があるのでは?と言われた時期もありました。しかし、現代の様々な研究によって、適切な装具を用いれば、それらのデメリットはなく、さらにいくつかのメリットがある!という事がわかっております。

以下にメリットを挙げておきますね?
 @拘縮予防(内反尖足等を予防できま...す)
 A痙性抑制(筋のこわばりを抑える事が可能です)
 B筋の動きをサポート(一部の装具では、特にこの機能が追加されています)
 C歩行動作改善(最近の装具ではより自然な歩行に近づける為の工夫がされております)

どうですか?少しはイメージが変わりませんか?

2012年11月22日(木)
歩行改善

今まで毎回、手のリハビリについて紹介して来ましたが、今日は少し目線を下におろして足のこと、「歩行」についての話です。
脳卒中後、まず最初の難関になるであろうこの「歩く」ということ。
この「歩行」に対するリハビリは、実は意外とシンプルなアプローチとなっています。

それは・・・『適切な歩き方』を『繰り返す』ことです。

あたりまえ?そうなんです。

研究結果によると、繰り返し歩行を繰り返すことで除脳した猫(カワイソウ…)も歩行を再獲得したとの事です。これは猫の歩行では脳だけでなく脊髄でのCentral pattern generator(CPG)という機能が重要な役割を働きを示しているという事が分かっております。そして、人間でもその機能が備わっているのではないか・・・とも。

つまり、脳卒中後の歩行においても、適切な装具やFES・免荷式歩行装置等の適切な道具を使いつつ、とにかく量を歩くことで歩行は改善して行く!という事ではないでしょうか?

2012年11月21日(水)
ミラーセラピー(Mirror therapy)

今日は手の治療の具体例として「ミラーセラピー」について触れてみたいと思います。
方法としては写真の様な道具を使い、麻痺側上肢は本人からは見えない位置(鏡の裏側)に配置します。そのうえで、非麻痺側上肢を箱の中に入れ、中で手を動かす様子を鏡ごしに見る、というものです。
また、基本的にはこの治療に対象者の実施基準は設けられておりません。

この治療のポイントは、いかに麻痺側上肢が動いているかのように脳に認識させるか?という点です。

この、"あたかも動いているかのように"認識する能力はミラーニューロンの働きだとされております。つまり、ただ動く手を動かしているだけでは意味がないわけですね。したがって、この治療を実施する際には、鏡に集中して、出来るだけ長時間行なうようにしましょう!

2012年11月20日(火)
様々な手のリハビリ

さて、前回取り上げた、「CI療法以外の手の運動」にはどのようなものがあるのでしょうか?

調べてみると、いろいろなものが出ていますね。

...最も有名なものは話題を集めた「ミラーセラピー」でしょうか(当施設でも日曜大工セットを活用してキットを作りました)。最近ではr-TMSやtDCS等の特別な機器を用いたリハビリも、マスコミを通じて注目を集めましたね。その他では、両手動作を用いたものや、イメージを利用したものもありますし、ロボットを使った訓練も効果の出ているものがあるようです。

中には賛否のあるものもあれば、効果の認められているものもあります。最も重要な事は、その人にあった方法を採用して行く事だと思います。

少しでも効果のあるものなら・・・と、なんでも試してみるのも一つの方法だとは思いますが、適切な治療法を選択できれば最善ですね!

2012年11月19日(月)
手のリハビリで大事なこと

今日は手のリハビリにとって重要な要素について紹介していきます。

しかし、以前紹介したCI療法は、一般には実施基準が大変厳しいものになっていますので、多くの方には適応しづらい側面も持ち合わせています。そこで、ニューロリハの観点から考えると手の回復にはいくつかの重要な要素が含まれていることが分かります。難しい事は一旦の置いておいて、その要素だけを抽出すると・・・

 @なるべく反復して、量・回数を行なう事
 A慣れていつもの事にならないように少し難しく新しい課題を行なう事
 B場合によっては非麻痺側の補助やイメージトレーニングを行なう事

ざっと挙げるだけでもこの程度の要素は必要なようです。ですが、これらはCI療法以外でも可能な要素が含まれていますね?

たしかにCI療法は有効な治療法ではありますが、ここで気が付いてほしいのは、「手の治療方法はCI療法だけではない」ということです。よく勘違いしてしまう事ですが、「〜療法」というものにこだわりすぎてしまうと本当に大事な要素を見逃してしまう事になりがちです。

従来回復は困難といわれてきた片麻痺を有する多くの方にも「実は改善のチャンスはあるのではないか?」と私たちは考えてアプローチを実施しております。

日々、リハビリの世界も進歩しておりますので、主治医の先生とも相談しつつ、適切なリハビリを進めていきましょう。

2012年11月17日(土)
リハビリの選択

さて、前回取り上げた、「CI療法以外の手の運動」にはどのようなものがあるのでしょうか?

調べてみると、いろいろなものが出ていますね。

...最も有名なものは話題を集めた「ミラーセラピー」でしょうか(当施設でも日曜大工セットを活用してキットを作りました)。最近ではr-TMSやtDCS等の特別な機器を用いたリハビリも、マスコミを通じて注目を集めましたね。その他では、両手動作を用いたものや、イメージを利用したものもありますし、ロボットを使った訓練も効果の出ているものがあるようです。

中には賛否のあるものもあれば、効果の認められているものもあります。最も重要な事は、その人にあった方法を採用して行く事だと思います。

少しでも効果のあるものなら・・・と、なんでも試してみるのも一つの方法だとは思いますが、適切な治療法を選択できれば最善ですね!

2012年11月16日(金)
CI療法

当施設で取り入れている「ニューロリハビリテーション」、今日はその具体例の一つを紹介致します。

それが表題にあげたCI療法(Constrait Induced Movement Therapy)です。日本語に直訳すると強制運動療法という形になるかと思います。こう聞くと仰々しく感じるかもしれませんが、実際の治療は脳卒中片麻痺の方の非麻痺側(よく動く側)の動作を制限し、麻痺側(動きにくい方)の運動を促していく治療法です。

実は脳卒中治療ガイドライン(脳卒中学会,2009)でも麻痺側上肢の機能改善の為に実施される治療として強く推奨されているものです。

治療の概要としては前述の通り、非麻痺側を極力使用せずに麻痺側のレベルにあった動作を積極的且つ反復的に実施して頂くというシンプルなものとなっています。

従来の治療と異なるのは、「リハビリ専門職が手を動かす治療」ではなく、「"本人"が手を動かす治療」という事でしょう。

考えてみれば、自分の脳に変化を起こそうというのですから、自分から行動を起こすことは当然のことなのかもしれませんね?

2012年11月15日(木)
私たちのリハビリについて

私たちは広島県福山市において、デイケアの形をとって「ニューロリハビリテーション」を提供させていただいています。
ここでは、私たちの行なっているリハビリを少しでも知っていただくスペースてして使わせていただきます。

まず、今回出てきた『ニューロリハビリテーション』という言葉、もしかすると始めて聞いたという方もいらっしゃるかと思いますので、説明をしておきます。

その定義は「ニューロサイエンスとその関連の研究によって明らかになった脳の理論などの知見を、リハビリテーション医療に応用した概念、評価法、治療法など」(2009年道免和久)

これはニューロリハの日本における第一人者である道免先生のお言葉より引用させていただきました。

つまり、簡単に言うと『脳・神経』に対するリハビリテーションアプローチのことになります。

私達は特に脳卒中後の後遺症に対して、その改善を目的としてリハビリを提供して参ります!

かわもと脳神経リハビリセンター
広島県福山市引野町1-22-28
TEL(084)940−6030
FAX(084)940−6020
営業時間=9時〜18時
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